慢心? 金融教育を受けたのにトラブル遭遇 日銀関係団体の「金融リテラシー調査」が話題
金融教育を受けても低リテラシーならトラブル経験率上昇──こんな調査結果が、Twitterで話題となっている。金融投資を促そうと各社や政府が金融教育の取り組みを進める中、調査結果が注目を集めそうだ。
金融教育を受けても低リテラシーならトラブル経験率上昇──こんな調査結果が、Twitterで話題となっている。金融投資を促そうと各社や政府が金融教育の取り組みを進める中、調査結果が注目を集めそうだ。
低リテラシー層のトラブル経験率が突出
注目を集めているのは、金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査」。同委員会は公式Webサイトで「政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体などと協力して、中立・公正な立場から暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行う団体」と説明。現在は日銀内に事務局があるという。
同調査では18〜79歳の3万人を対象に実施し、金融知識・判断力を問う設問25問の正答率と傾向をまとめた。Twitterで注目を集めているのは、金融教育の効果に関する設問だ。金融教育を受けた人の方が正答率が高く、正答率が高い人には、金融トラブル経験者の割合が低い傾向がみられた。
一方で、金融トラブル経験者について、金融教育経験の有無別にみると、金融教育を受けたものの正答率が低い「0〜20点」「21〜40点」の「低リテラシー層」では、金融トラブル経験者の割合が高いことが分かった。
低リテラシーとされる層で比較すると、金融教育を受けた人のトラブル経験率はそれぞれ22.8%(0〜20点)、26.5%(21〜40点)となった。同じ層の金融教育を受けていない人のトラブル経験率はそれぞれ6.4%(0〜20点)、8.3%(21〜40点)だったため、金融教育を受けたにもかかわらず、トラブル経験率が高いことが分かる。
トラブル経験率の高さは低リテラシー層だけではない。同じ調査で「81〜100点」で「高リテラシー」とされた層も、教育を受けた人のトラブル経験率は7.1%で、受けていない人の5.8%をわずかに上回った。「41〜60点」「61〜80点」で「中リテラシー」とされた層でも同様の傾向がみられた。
こうした結果を受け、Twitterでは「金融教育をしないほうがいいのではないか」「ちょっと知識入れたくらいで賢くなったと慢心するのが原因ではないか」などの意見が出ている。
調査を行った金融広報中央委員会は文末で「今回の調査では、引き続き金融教育にはプラスの効果があること、また、世の中の金融教育に対するニーズが強いことが確認された」とした上で「自己の知識に対する過信はトラブルにつながりかねない」と締めくくっている。政府主導で国民の投資活動を推奨する中、金融各社が投資講座などを開催する際は、受講者に投資の魅力とともに、トラブル発生のリスクも十分伝える必要がありそうだ。
調査では都道府県別の正答率ランキングも公開しており、正答率トップは「島根県」「奈良県」、3位は「千葉県」だった。人口が最も多い「東京都」は9位で、最下位は「沖縄県」だった。調査結果の詳細は、同委員会が運営する金融情報サイト「知るぽると」で公開している。
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