リンガーハットが挑む「冷凍自販機の専門店」 カラオケ店、住宅街、駅前……最も売れている立地は?:半年で3店舗展開(2/2 ページ)
長崎ちゃんぽん専門チェーンのリンガーハット(東京都品川区)が2022年8月から、冷凍自販機の専門店を展開している。コロナ禍以降、店舗の入り口付近や駐車場に自販機を設置する取り組みを進めてきたが、「冷凍食品だけ」の自販機専門店は初の試み。どのような商機を見込んでいるのか。
最も売れている立地は?
実験的な出店とあって、立地環境は3店でそれぞれ異なる。1号店の青梅店は、カラオケ店「まねきねこ」の建物1階に出店し、カラオケ店利用客の購入を狙う。
2号店の福岡大池店は住宅街に立地する。そして3号店の八王子八日町店は、JR八王子駅近くに立地する。
それぞれ、日中は主婦層の購入が多く、夕方以降は主婦層に加え、サラリーマンの購入が増えるという。現時点でどの立地が最も売れ行きがいいのか。
「想定以上の売り上げを見せているのは、3号店の八王子八日町店です。店舗前に横断歩道があり、立ち止まった通行人の目に留まりやすいようです」(小島さん)
八王子駅周辺にはもともと、リンガーハットが2店舗あったがコロナ禍も影響しいずれも退店。これらの店舗の固定客も、自販機専門店に足を運んでいる可能性があるという。
小島さんは「3店舗の環境の違いや、ニーズを詳しく調べながら専門店の設置を拡大していきたい」と意気込む。
同社はこの冷凍自販機事業について、産業競争力強化法に基づく「事業適応計画」を農林水産省に提出。22年7月に「経済社会情勢の著しい変化に対応して行うもの」との要件を満たすと認定され、税制優遇措置を受けられるようになった。
同社は、計画の最終年度となる25年度に「冷凍商品自動販売機の売上高が全体の売上高の1%以上となることを目指す」との目標を掲げている。22年2月期連結決算をあてはめると、3億円を上回る額になる。
コロナ禍を経て、冷凍自販機の専門店という新たな形態に挑むリンガーハットの取り組みは、奏功するか。多くの外食企業が行く末を注視している。
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