リアルとバーチャル共存のすすめ 単なる「出社回帰」が最も愚かな選択である理由:働き方の見取り図(5/5 ページ)
世の中は脱コロナへと向かい日常を取り戻す中、一時メタバースに向けられていた熱気が徐々に冷めつつあるように感じる。しかし、リアルとバーチャルを自由に切り替えられる社会の構築を進める上で、メタバースが有するメリットは見過ごせない。
3つ目のメリットは、より効果的な職業訓練の実施です。メタバースの中だと、リスクが大きくて難しかったり、場所や設備などの制約があったりと現実世界では難しい訓練も可能になります。
日立製作所は原発内部をメタバースで再現し、保守や点検などの訓練ができるシステムを開発したほか、メタバースの中で外科手術のシミュレーションを行うシステムなども開発されています。今後もさまざまなシチュエーションで職業訓練の可能性が広がっていくことが期待されます。
単なる出社回帰は「最も愚か」な選択
脱コロナへと向かういま、リアルとバーチャルを自由に切り替えられる社会の構築を進める上で、メタバースが有するメリットは見過ごせません。DXを推進してテレワークできる業務範囲を最大化することと合わせて、その可能性を追求していくことがコロナ禍を教訓として未来へと生かす道につながります。
ただ出社回帰するだけで職場環境をリアル一択状態へと戻す道を選べば、再び新たなウイルスの脅威にさらされた時に同じ過ちを繰り返すことになります。それは、考えうる最も愚かな選択であるに違いありません。
著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ4万人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。
現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。
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