やはり「酔えるグミ」は無責任なのか UHA味覚糖が間違えたこと:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
UHA味覚糖のソフトキャンディー「パリピ気分」が、SNSで叩かれている。「お酒」をコンセプトにしていて、アルコール分が2.0%入っていることから、批判が噴出しているのだ。アルコールが含まれているお菓子は他にもあるのに、なぜパリピ気分は炎上したのか。
WHOの圧力に屈した
WHOはずいぶん昔から、アルコールの有害な使用というのは、世界の健康障害の最大のリスク要因のひとつだと位置付けて警鐘を鳴らしてきた。
具体的には精神神経疾患、心血管疾患、肝硬変、がんなどの危険因子であるとともに、HIV/AIDS、結核や肺炎など一部の感染性疾患とも関連があり、さらには交通事故、暴力、自殺、傷害にも影響を及ぼすというのだ。
そこで10年5月、第63回WHO総会で「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」というものが全会一致で採択された。
これは簡単に言えば、加盟国の政府に対して、アルコールの有害な使用を低減するための取り組みを進めるように「圧力」をかけていこうというものだ。これがバカにできたものではないことは、喫煙者の皆さんは身をもって痛感しているはずだ。
かつて日本は欧米と違って、いたるところでタバコをスパスパできる喫煙天国だった。が、東京オリンピックの誘致を境に、東京都や日本政府が続々と受動喫煙防止対策に乗り出した。これは日本人が自発的に「やっぱりタバコは良くない」などと言い出したわけではない。
日本政府やJOC(日本オリンピック委員会)が「開催させてください」とヘコヘコしていたIOC(国際オリンピック委員会)は、実はWHOとパートナー契約を締結して、「ノースモーキング五輪」というコンセプトで一致していた。だから、中国・北京もロシア・ソチも五輪開催を契機に、喫煙規制が定着したのである。
つまり、オリンピックを境に日本のタバコ規制が一気に進んだのは、日本人の意思などではなく、すべては「タバコ規制の世界戦略」に基づいたWHOの圧力に屈しただけというわけだ。
関連記事
- 「サクマ式ドロップス」製造元が廃業に追い込まれた、これだけの理由
「サクマ式ドロップス」を製造する佐久間製菓が2023年1月に廃業する。廃業の理由として、同社は「コロナ」と「原材料高騰」の2つを挙げているが、本当にそうなのか。筆者は違った見方をしていて……。 - 「マルチ商法の優等生」アムウェイは、なぜこのタイミングで“お灸”を据えられたのか
日本アムウェイ合同会社に対して、消費者庁が勧誘などの一部業務を6カ月間停止する命令を出した。「昔から同じようなことをやっているのに、なぜ今なの?」と思われたかもしれないが、どういった背景があるのか。さまざまな憶測が飛び交っていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 「田園都市線」は多くの人が嫌っているのに、なぜ“ブランド力”を手にできたのか
「通勤地獄。なぜあんなところに住むのか」――。SNS上で「東急田園都市線」が批判されている。街は整備されていて商業施設もたくさんあるのに、なぜこの沿線をディするのか。その背景に迫ったところ……。 - 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.