「CX戦略」でNGなことはなにか デジタル化の前に整理すべきポイント:自分の頭で考える(5/5 ページ)
成功パターンはさまざまなものがあるが、失敗パターンにはある共通項が存在する。失敗するパターンの共通項は、一言で表現すると「自分の頭で考えない」ケース。「自分の頭で考えない」というのはどういうことかというと……。
まとめ
いかがでしたか? CX戦略の失敗は、「自分の頭で考えることを放棄する」ということが共通項にあるというお話をしました。
他社事例をなぞるだけで、「自社の顧客」ではなく「他社」が主語になっているような課題設定や解決策の企画になっていませんか? デジタル化をする前にまず整理すべきことは、顧客の解像度を上げることです。さらに、顧客起点で考えるコンタクトセンターの新たな挑戦として、「問い合わせを減らす」だけでなく、「顧客の不満解消体験を増やすには?」という逆の視点を獲得する必要性を定義しました。
最後に、施策を実行に移す際に、重要になってくるのがコンタクトセンターの従業員体験です。オペレーションの実現可否はもちろん、どのようなサイクルで改善活動をしていけばいいか? そのためにはどのような役割・スキルを持った人が必要で、どのようにアサインすればいいか? を整理できていると、実行フェーズに移った後の改善や軌道修正もでき、失敗する・失敗したまま学びがない、という状況は避けることができます。
以上、自社に合ったCX戦略を「自分の頭で考える」を実行していくための参考になれば幸いです。
著者プロフィール:小田 志門(おだ・しもん)
カラクリ株式会社 代表取締役CEO
1980年、京都府生まれ。関西大学卒業後、2003年にネットパトロール・カスタマーサポート事業を展開するイー・ガーディアン株式会社の創業メンバーとして入社。国内外の運用センターの立ち上げ・支援を経験。たった3人だった会社を、役員として従業員1000人規模の東証一部上場企業に成長させる。16年にチャットボットの可能性を感じ、17年10月にカスタマーサポートDXを手がけるカラクリ株式会社のCEOに就任。
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