「CX戦略」でNGなことはなにか デジタル化の前に整理すべきポイント:自分の頭で考える(4/5 ページ)
成功パターンはさまざまなものがあるが、失敗パターンにはある共通項が存在する。失敗するパターンの共通項は、一言で表現すると「自分の頭で考えない」ケース。「自分の頭で考えない」というのはどういうことかというと……。
この新たな挑戦を実行する際に、もう1つ頭を働かせるべきポイントがあります。それがデジタルツール導入時に発生するオペレーションフローです。
これまでCX改善のためにツールを入れた後に、現場が死にもの狂いで運用する……というシーンを目の当たりにしてきました。というのも、今までの運用経験がそのまま通用するケースは少ないからです。新たな取り組みには、新しい「役割」「スキルセット」を同時に考える必要があります。オペレーションを最適化していくために、自社の人材の評価・育成の仕組みを抜本的に見直す必要性も視野に入れるべきです。
その必要性の有無を判定するためにも、コンタクトセンターのオペレーションシステム・フローの設計図の変更点の把握と、新しい役割やスキルセットの定義も同時に実施しておきましょう。さらに、そのような人材をアサインする方法もまとめておくといいと思います。既存メンバーの教育、別部門からの異動、新規採用や外部パートナーの活用など、状況に応じた施策案を具体的に落とし込んでおくのもいいでしょう。
よくある論点として、「電話に加えて、チャット対応を開始する。その際に必要なスキルセットと、既存メンバーの親和性はどれくらいか?」「KPIを応答率から、解約防止数に変更する。その場合、評価項目は現状のままでいいか? KPIの変更に伴い、インセンティブ設計は必要ないか?」などが挙げられます。
人事制度や評価制度は簡単に変更できるものではないですが、矛盾点が発生しそうであれば、運用やマネジメントでカバーする方法を考えましょう。このようにCX戦略を検討するうえで、働く従業員のケアが「継続する底力」となります。EX(従業員体験の向上)なくしてCXの実現はなく、両方に寄与できる構造設計が次世代コンタクトセンターづくりのカギとなります。
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