アマゾンvs.ウォルマート──小売り王者が次に狙う「巨大市場」とは?:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(4/4 ページ)
アマゾンやウォルマートが狙う、次なる「巨大市場」がヘルスケアビジネスだ。なぜ、リテール大手が医療ビジネスに参入するのか? その狙いと、アマゾン・ウォルマートのそれぞれの戦略とは──。
医療業界にもディスラプションが来るか
Markets and Marketsが発表した23年の最新レポートによると、米国のデジタルヘルスケア市場は、22年時点で3946億ドル(およそ50兆8000億円)で、27年までには9745億ドル(およそ125兆円)の規模に達すると予測されており、CAGR(年平均成長率)は19.8%にものぼるとされています。
この急成長の背景には、コロナによる電子処方箋の浸透や、オンラインでの遠隔診療のような技術の向上、デジタルヘルスサービスや製品を提供する医療機関の増加があるとされています。また、糖尿病や肥満など、常時監視と長期的なケアを必要とする慢性疾患が進んでいることも要因となっています。このため、患者の状態管理を支援するデジタルヘルスケアソリューションに対する需要が高まっているのです。
アマゾンやウォルマートなどの大手小売りが独自の強みとノウハウを生かしてついに本格参入した米国の医療業界。今まで大きなビジネスモデルの変革がない産業ではありましたが、大型買収やテクノロジーの革新により、23年はついに医療業界にもディスラプション(破壊的な革命)が起きるかもしれません。
著者プロフィール:石角友愛(いしずみ・ともえ)
パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
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