高齢者住宅を、どのように評価すべきか:売却のリスクも(3/3 ページ)
高齢者向けの分譲マンションはまだ数が少ないために、評価の観点や基準も共通の認識がなく、相場といったものが形成されていません。このような状態だと、例えば売却しようとする際に、思わぬ低い評価をされてしまう危険もあり、一定の合意形成は大切だと思います。
家の周辺に、平たんで気持ちのいい道があれば、ウオーキングや散歩をしようという気が湧いてきます。スーパーがすぐ近くにあれば、食材を買いに行って、自分で料理を作って食べる習慣ができます。知人や友人が近くに住んでいれば、集まって会話をする機会も増えるでしょう。魅力あるコンテンツやイベントが共用部で行われれば、部屋に閉じこもることもなくなります。
コミュニティー運営者における介入や誘い、とりなしが上手に行われているかどうかも非常に重要です。高齢者の健康維持には、「運動・栄養(食事)・交流」の3つが重要であるとされますが、このような環境に住まうことで、頑張って取り組まなくても自然にこの3つが可能になり、気付いてみたらよい生活習慣が続いている――。これが「ゼロ次予防」であり、優れた高齢者住宅の条件といえます。
また、「家の中に段差や階段が少ない」「家の温度が安定している(熱中症やヒートショックの危険が少ない)」「体調急変時などの際、助けがすぐ呼べる」「手伝いを頼める人がいるので、危険な作業をしなくていい」といったことも、そこに住んでいるだけで、病気やけがを未然に防げるわけですから、「ゼロ次予防」といってよいでしょう。
このような条件がそろい、何年か経過したときに、健康を維持しながら以前と同じように暮らせていることに気付く――。そんな「ゼロ次予防」の機能がしっかり組み込まれているかどうか。これが、高齢者住宅の真の価値であり、評価基準とすべきだろうと思います。(川口雅裕)
関連記事
- 「外食テロで店がガラガラ」問題 スシローが訴えても“解決”できないワケ
「外食テロ」の報道を受けて、ネット上では悲鳴と怒りが入り混じった声があふれている。「犯人に高額賠償を請求しろ!」といった意見も出ているが、そんなことをしてこの問題を解決できるのだろうか。 - ヤマハが試しにつくった「エレキ」が面白い “牛肉の部位”に見えてきた
ヤマハがちょっとユニークなことに取り組んでいる。楽器の制作工程で使われなかった木を集めて、エレキギターを完成させたのだ。それにしても、なぜわざわざ手間のかかることをしたのか。その秘密を担当者に聞いたところ……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - シロカの「全自動コーヒーメーカー」はなぜ売れているのか 背景に2つの理由
シロカの「全自動コーヒーメーカー」が人気を集めている。商品名は「カフェばこPRO」。売れている秘密を取材したところ……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.