2015年7月27日以前の記事
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高齢者住宅を、どのように評価すべきか売却のリスクも(3/3 ページ)

高齢者向けの分譲マンションはまだ数が少ないために、評価の観点や基準も共通の認識がなく、相場といったものが形成されていません。このような状態だと、例えば売却しようとする際に、思わぬ低い評価をされてしまう危険もあり、一定の合意形成は大切だと思います。

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 家の周辺に、平たんで気持ちのいい道があれば、ウオーキングや散歩をしようという気が湧いてきます。スーパーがすぐ近くにあれば、食材を買いに行って、自分で料理を作って食べる習慣ができます。知人や友人が近くに住んでいれば、集まって会話をする機会も増えるでしょう。魅力あるコンテンツやイベントが共用部で行われれば、部屋に閉じこもることもなくなります。

 コミュニティー運営者における介入や誘い、とりなしが上手に行われているかどうかも非常に重要です。高齢者の健康維持には、「運動・栄養(食事)・交流」の3つが重要であるとされますが、このような環境に住まうことで、頑張って取り組まなくても自然にこの3つが可能になり、気付いてみたらよい生活習慣が続いている――。これが「ゼロ次予防」であり、優れた高齢者住宅の条件といえます。

 また、「家の中に段差や階段が少ない」「家の温度が安定している(熱中症やヒートショックの危険が少ない)」「体調急変時などの際、助けがすぐ呼べる」「手伝いを頼める人がいるので、危険な作業をしなくていい」といったことも、そこに住んでいるだけで、病気やけがを未然に防げるわけですから、「ゼロ次予防」といってよいでしょう。

 このような条件がそろい、何年か経過したときに、健康を維持しながら以前と同じように暮らせていることに気付く――。そんな「ゼロ次予防」の機能がしっかり組み込まれているかどうか。これが、高齢者住宅の真の価値であり、評価基準とすべきだろうと思います。(川口雅裕)

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