2015年7月27日以前の記事
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高齢者住宅を、どのように評価すべきか売却のリスクも(2/3 ページ)

高齢者向けの分譲マンションはまだ数が少ないために、評価の観点や基準も共通の認識がなく、相場といったものが形成されていません。このような状態だと、例えば売却しようとする際に、思わぬ低い評価をされてしまう危険もあり、一定の合意形成は大切だと思います。

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 では、高齢者住宅をどう評価すべきでしょうか。

 郊外の一戸建てから都心のファミリーマンションやタワーマンションに住み替えた高齢者が、しばらくすると嫌になって高齢者住宅に引っ越すという例は少なくありません。健常高齢者向けの有料老人ホームについても同じような話を聞きます。

 現役時代の家に不便や不安を感じるようになって住み替えようとする人は増えていますが、どのような住まいがよいのかをしっかり考えることなく、タワーマンションなら「今より便利」とか有料老人ホームなら「今より安心」といった具合に簡単に考えてしまい、住み替えてからようやく高齢期の住まいにおける大切なこと(価値、評価基準)に気付かれたのではないかと思います。

 私は、高齢者住宅を「ゼロ次予防」という視点で評価すべきと考えています。

 「ゼロ次予防」について少し説明すると、予防には段階があり、「1次予防」は生活習慣をよく保つことや予防接種などを指し、「2次予防」は病気や不調を早期発見するための健康診断や人間ドックの受診、「3次予防」は病気治療後の身体機能の悪化を防ぐためのリハビリや、再発防止のためのケアのことです。

 これらに対し、「ゼロ次予防」は根本的な予防として世界保健機関(WHO)が提唱したもので、意識したり努力したりしなくても、健康につながる行動や習慣になるような環境に身を置くことです。高齢者住宅の観点でいえば、知らぬ間に病気やけがを避け、健康が維持できるような環境で暮らすことです。若い人たちと違い、病気やけがをすると元の状態に戻りにくい高齢者にとって重要な考え方であり、本人にも、高齢の親を案じる子にも非常に魅力的なことだろうと思います。

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