「10円パン」に大行列! “韓国を真似ればヒット”の法則は本当か:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「大王チーズ10円パン」をご存じだろうか。10円で買える激安パンではなく、500円で買える巨大な10円硬貨型のスイーツのこと。韓国発の商品で、若者を中心に人気が集まっているのだ。韓国のモノやサービスを真似れば、日本でヒットする傾向があって……。
最近、東京、大阪、沖縄のドン・キホーテに若者や観光客の行列ができているのをご存じだろうか。
これは「大王チーズ10円パン」を購入するためのものだ。「物価高騰に背を向け続ける“安いニッポン”もそこまできたか」と驚く人も多いかもしれないが、10円で買える激安パンではなく、500円で買える巨大な10円硬貨型のスイーツである。
ベビーカステラのような甘めの生地に、とろりとしたチーズが入っているというあましょっぱい味もさることながら、とにかくインパクト大のビジュアルが「インスタ映えする」ということで、若者を中心にちょっとしたブームとなっているのだ。
現在、店舗はドン・キホーテ渋谷本店、道頓堀店、国際通り店の3つに加えて、東京・原宿のK-TOWNフードコートと道頓堀の路面店の計5つ。これからさらに人気が上がっていくという見立てもあるので、店舗はさらに増えていくだろう。
「次から次へといろいろなものを考えるな」と関心する人も多いだろうが、個人的には10円パンの勢いを見ていると、最近の「ヒットの法則」がより明確に浮かび上がってきたと感じざるを得ない。
それは、一言でいえば「韓国でヒットしたものを日本で真似ればそれなりにヒットする」というものだ。
実はこの10円パンは、日本オリジナルのものではない。元ネタは、韓国の慶州で売られていた「慶州10ウォンパン」と言われている。現地の観光名所に「仏国寺」というお寺があって、その境内には国宝「多宝塔」というものがある。
それが韓国の10ウォン硬貨に描かれているということで、観光土産として巨大な10ウォン硬貨型のスイーツを発売したところ、これがSNSで大バズリ。韓国では日本以上にクレジットカードやキャッシュレス決済が浸透していて、若者は小銭をそれほど目にする機会がない。ということもあって、逆にレトロで新鮮という感じでウケたのだ。
こういう韓国のヒットはほどなく、日本の韓流の聖地である東京・新大久保に入ってくる。最初はオリジナルの「10ウォンパン」が売られていたが、そこは商魂たくましい人々が「10円パン」へとリメイクしたというわけだ。ちなみに「大王チーズ10円パン」を運営しているB・N社というのも新大久保にある企業で、韓国の人気コスメの輸入販売や、韓国料理店を経営している。
関連記事
- 「外食テロで店がガラガラ」問題 スシローが訴えても“解決”できないワケ
「外食テロ」の報道を受けて、ネット上では悲鳴と怒りが入り混じった声があふれている。「犯人に高額賠償を請求しろ!」といった意見も出ているが、そんなことをしてこの問題を解決できるのだろうか。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 「大量閉店」に追い込まれたのに、なぜクリスピーは“復活”したのか
クリスピー・クリーム・ドーナツの売り上げが好調だ。売り上げが落ち込んで大量閉店に追い込まれたのに、なぜ復活できたのだろうか。取材したところ、2つの理由が浮かんできた。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.