コラム
なぜ「住民のため」にならない自治体DXが続出してしまうのか 改善すべき4つの課題(1/3 ページ)
昨今、自治体でもデジタル化の機運が高まっている。実際にさまざまな取り組みが進んでいるが、中には少々「残念」なものも生まれているのが現状だ。こうした状況を乗り越え、本当に住民のためになるDXを進めるにはどうすればいいのか。
自治体、公共領域で高まるDXの機運 一方で……
昨今、デジタル化やDXという言葉をよく聞くが、自治体や公共領域も例外ではない。自治体の部署に、以前は見られなかった「デジタル戦略課」や「DX推進課」といった名称が登場するようになった。国の「自治体DX推進計画」を受けて、DX推進にかかる方針を定める自治体も増加傾向にある。
そのような中、国は「デジタル田園都市国家構想」を推進するため、デジタルを活用した地域課題の解決や魅力向上に関する提案を自治体に求め、400億円の交付金を用意し国全体のデジタル化を後押ししている。
さらに、国策として取得が促進され「デジタル社会のパスポート」と位置付けられるマイナンバーカードは申請数ベースで約8300万枚となり、運転免許証の交付枚数を超えた。運転免許証の所有者は減少傾向にあり、健康保険証や運転免許証との一体化も予定されるマイナンバーカードは、今後主たる身分証になると考えられる。
このように、自治体や公共領域においてもデジタル化の流れは間違いなく大きなものとなっている。一方で、デジタル化自体が目的となりその恩恵が住民に伝わっていないケースも少なくない。
本記事では、その要因として複数考えられるものを挙げ、いくつか具体的な事例も踏まえながら取り上げてみたい。
部分最適にとどまり、全体がデジタル化していない
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