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渋谷・新宿・池袋で起きる異変──なぜ「電鉄系百貨店」だけが消えるのか?小売・流通アナリストの視点(4/4 ページ)

渋谷・新宿・池袋から、東急や西武、小田急などいわゆる「電鉄系」の百貨店が消えつつある。一方、過去最高の売り上げを更新する見込みの三越伊勢丹新宿本店を筆頭に、「呉服系」の百貨店はそれほどの苦境には立たされていない。なぜ、電鉄系百貨店だけが消えるのか? 渋谷・新宿・池袋で何が起きているのか? 小売・流通アナリストが解説する。

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富裕層に頼る電鉄系百貨店は、既に存在意義を失っていた?

 電鉄ビジネスモデルの祖、小林一三氏は、ターミナル百貨店の顧客層設定について、富裕層に特化することなく、大衆の需要に応えられるようにすべし、と常に言っていたとされる。数多くのお客さんから少しずつ収益をいただけるモデルの方が、長期安定的な基盤となる、という趣旨であろう。

 そのため、大食堂で大衆にも手が届くメニューをそろえたり、品質の良い生活必需品を安く販売する、といった方針に大いにこだわっていた。

 確かに富裕層向けの商売なのであれば、駅ターミナルという世界有数の人流を持つ優良立地である必要がないかもしれない。


元来、富裕層向けではなかった電鉄系百貨店(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 当時の方針から一転して、百貨店は大衆需要を失い、富裕層やインバウンド需要に頼らざるを得なくなっている。この現状は、そもそも電鉄系百貨店という存在の意義を失わせるものだったのかもしれない。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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