串カツ田中の「恫喝」問題 なぜ現場はマニュアルを軽視するのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
串カツチェーンを展開している「串カツ田中」が揺れている。串カツ田中を1カ月で退職した新人が流したと思われる「告発文書」が、ネット上で拡散しているのだ。どういう内容なのかというと……。
現場判断の対応は「個性」
確かに、串カツ田中の「社内チャット」の記録を調べれば、炎上中の文書が元従業員によるものかどうかはすぐに判明する。多くの人が「確認中」という説明に違和感を覚えているのはそこだ。
が、そこに書かれていることが事実かどうかの確認は、そう簡単にはできない。仕事柄、この手の「退職者の告発」を嫌というほど見てきたが、事実よりも話が大袈裟になりがちな傾向がある。
退職者は「会社を辞める自分」を正当化したいので、会社で起きたこと、そこで働く人などあらゆるものを全否定する。また、特定の誰かに対する“復讐”という場合は、さらにエピソードが盛られてしまう恐れもある。
だからこそ、退職者の告発はしっかりと「裏取り」をしなくてはいけない。店舗の責任者へのヒアリングはもちろんだが、周囲にいた人たちにも話を聞いて双方の主張にズレがないか検証する。そして、どの程度のハラスメントや食材の不適切な利用があったかを正しく把握して、謝罪が必要ならば謝罪をして、再発防止策も公表をする、というのが一連の流れだ。
元従業員がネットやSNSで悪い話をふれまわっているだけで即座に謝罪をしないといけないのなら、コンビニやファミレスは毎週のように世間に平謝りをしなくてはいけないのだ。
……という感じで、ハラスメントや食材の不適切な利用に関してはまだ事実関係がよく分からないのだが、あくまで個人的な感触としては、この文書の中にある「マニュアル通りにやると店舗責任者から怒号が飛ぶ」というのは、いかにもありそうな気がしている。
外食業界では、どうしてもマニュアルに縛られずに現場判断でさまざまなことに対応をしたほうが店に個性が出ていい、という「マニュアル否定」ともいうべきカルチャーがあるからだ。
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