「それは君の仕事だろっ、何とかしろ!」からの脱却:何ともならない時代(1/3 ページ)
日本企業における調達購買部門への対応の代表的な取り組みが「何とかしろ!」でした。 しかし、昨年頃から「何ともならない」状況が続き始めています。「何とかしろ!」の発想からは何も生まれません。経営トップからの意識改革が必要となります。
昨年末の記事で、私は、経営における「サプライチェーンの重要性」が増してきていることを述べました。また、その中で、足元の業績好調企業を取り上げ、そのいずれの企業もサプライチェーンや調達改革が功を奏し、好業績を上げていることを、取上げています。
中でも、ダイキン工業は、有事対応で中国製部品が無くてもエアコンを生産できるサプライチェーンを構築する、と発表しており、中核機能にかかわる部品の内製化や、取引先にも中国外での生産を要請するなどの取組みを行っております。また、同社は、2217億円の営業利益(22年度予測)のうち、売価アップで940億円の増収につなげているとのことです。つまり、原材料費の高騰に対して売価反映がうまくできている企業と言えます。
また、昨年の10月に東京商工リサーチが約5500社に2022年度の業績見通しについてアンケート調査を行い、その結果を発表しています。その調査を読みますと、売上高が増収見通しの企業は全体の36.3%となっており、比較的増収見通し企業が多いことが伺えます。また、増収見通しの理由として、販売単価の値上げを理由としている企業は増収見通し企業のうち、45.6%に上っているとのこと。
また、同調査では、2022年度に増益見込みの企業は26.7%に対して、減益見込み企業は34.4%となっており、厳しい状況を見込む企業が多くなっています。また、減益の要因としては77.3%の企業が原材料価格の高騰を上げており、おそらく、原材料の価格高騰を販売価格に転嫁しきれていない企業が減益となっているようです。
このように2022年度の企業業績は、価格転嫁できている企業とできない企業で、二極化が拡大しています。
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