相次ぐ賃上げ表明は、いよいよジョブ型賃金時代の到来か:ありがたい話なのか(3/3 ページ)
大企業を中心に賃金アップの表明が相次いでいる。もはや給与アップができることが一流企業の証であるかのような雰囲気ですらある。当然これは働き手にとっては大歓迎の話だ。 しかし、本当にビジネスパーソンにとってありがたい話なのだろうか。
もちろん、全員のベースアップを行い、賃金を底上げするという素晴らしい企業もあるが、ここでも残念なことにいろいろな手当の見直しがセットでついてくる企業も少なくない。
整理すると、定期昇給とは年齢を積むごとに、全員なんらかの昇格があり、給与もそれに伴い上がっていく。ただし、人事上の昇格とポジションは別物で、上に行けばいくほどポジションは減るのだから、そこはその人が出してきた結果やの能力によって差がつく。人事上の昇格を給与のベースにしている企業は少なくなく、ポジションは違っても同じ社歴であれば給与はあまり違わないという会社は今でもけっこうある。
それでは不公平だということで、その差に応じて給与も反映させるのが成果主義ということだろう。営業職などであるインセンティブはここでは除くが、成果を出せば、給与もポジションも上がる制度ということになるだろう。
今回の「賃上げ表明」は中小企業においても多数の企業が行っている。中小企業では、人件費として最初から準備できている企業はあまりないというのが実態だろう。実際には、収支は厳しくなっている企業のほうが多く、それでも追随せざるを得ない状況は、非常に厳しい現実だ。給与体系の本格的な見直しを余技なくされれば、平均では上がっても中央値は下がるといったことも十分にあり得る。
そもそも、ジョブ型の導入の本当の狙いが、一部のトップクラスの人材確保にあるとすれば、一般的、平均的なビジネスパーソンの給与は上がるどころか下がることも考えられ、全体の活性化につながるのかどうか、経営陣の手腕が問われている。(INSIGHT NOW! 編集部)
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