実験店「グリーンローソン」は広がるのか アバターが「いらっしゃいませ!」:レジ袋を撤廃(5/5 ページ)
ローソンは実証実験店舗「グリーンローソン」で、食品ロスやプラスチックごみの削減、省人化、働き方の多様化などに向けた施策を実施。その中には、従来の“便利さ”を見直すことに踏み込んでいる施策もある。同社はグリーンローソンにどのような思いを込めているのか。
変化に「対応する店」から「創り出す店」へ
グリーンローソンで勤務する従業員には、事前に研修を実施。ローソンが掲げる「環境ビジョン」や、プラスチックごみ削減などの取り組みについて理解を深めてもらい、来店客に対して取り組みの目的や意義を説明できるようにしている。只野氏は「クルーの方たちには“伝道師”の役割も担ってもらっています」と、感謝を示す。
それだけに限らず、グリーンローソンの店舗スタッフは、来店客とのコミュニケーションを創出することが大きな役割だ。セルフレジをメインにしたことで、通常店舗で負担が大きいレジ接客業務を大幅に削減。カウンターの中だけではなく、売り場に人員を配置することで「困ったときに頼れる」存在にすることを目指す。
「接客については、“省人化”と“あたたかみ”の2軸を重視しています。実際にお客さまからも『話しかけやすくなった』という声をいただいています」(只野氏)
環境負荷軽減のためにこれまでのサービスを転換するだけでなく、技術革新が進んだ先の“リアル店舗の在り方”を提案する場にもなっているようだ。
只野氏は、グリーンローソンを“変化を創り出す”ためのきっかけにしたいと話す。
「便利さを追求して発展してきたのがコンビニであり、私たちは“変化対応業”と呼んできました。今はそれだけでなく、環境にやさしい店など、安心して利用してもらうための取り組みが必要です。これからは、私たちが先に変化し、お客さまに一緒に考えてもらえるような“変化創造業”へ変わっていくことが必要だと考えています」
グリーンローソンで実施している施策が広がっていくか。それは、企業側の理念や努力だけではなく、消費者の意識や行動にかかっているのだろう。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 「大量閉店」に追い込まれたのに、なぜクリスピーは“復活”したのか
クリスピー・クリーム・ドーナツの売り上げが好調だ。売り上げが落ち込んで大量閉店に追い込まれたのに、なぜ復活できたのだろうか。取材したところ、2つの理由が浮かんできた。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.