価格が4年で3倍! 価格高騰が続く「卵」 次なる意外な“物価の優等生”とは?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/3 ページ)
“物価の優等生”として知られる卵だが、価格高騰が続いており、卸値は4年で3倍まで膨らんでいる。そんな中、値上げラッシュに反して価格が安定している食品があるという。
価格の弾力性が高い製品としては、嗜好品や食品が挙げられる。これらの製品は、価格が上昇すると他の製品に乗り換えられてしまうことから、需要が減退しやすく、通常であれば値上げには慎重にならざるを得ない。
一方で、価格の弾力性が低い製品には、生活必需品などが挙げられる。このような製品は価格が上がってもその製品を購入せざるを得ず、値上げをしても需要が減退しにくいとされる。
――といった教科書的な説明がたびたびなされる。だが、昨今のように製造原価そのものが高騰している「コストけん引型のインフレ」が発生したときには、代替となり得る競合製品もまとめて値段が上がってしまうことから、実質的に消費者は乗り換え先の選択肢がなくなるケースが多い。従って、昨今は上記のような説明が該当しないことが多い。
「ブランド卵」に注目が集まる可能性も?
卵に話を戻そう。物価の優等生とされてきた卵は、すでに生産方式や価格が十分に効率化されており、家計においても価格の相場感が根付いている。そのため、付加価値をつけて積極的に値上げをしたり、イノベーションにより抜本的に生産コストを数分の一に減らしたりするのが難しい。
この点からいえば、今後は付加価値部分で粗利が大きいブランド卵に相対的な割安感が出てくるはずだ。安さで勝負する一般的な卵と比較して、ブランド卵は原価の高騰を付加価値部分で吸収できる余力を有しているため、一般的な卵と比較して値上げペースが緩やかになる可能性がある。
これにより、卵に限らず、消費者がかえって高付加価値製品を選好するようになるという特殊な消費動向を示してくる可能性がある。
そうはいえども、目先で懸念されている景気後退が進行すれば、高付加価値商品への嗜好も減退するであろうし、そもそも高付加価値製品を買う余裕を持った人が減少するケースも大いに想定され得る。この場合、品目を横断した代替消費行動が取られてくる可能性がある。
そんな中にあって、価格を安定させ、しかも値下がりまでしている、“次なる物価の優等生”ともいうべき意外な製品がある。
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