価格が4年で3倍! 価格高騰が続く「卵」 次なる意外な“物価の優等生”とは?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)
“物価の優等生”として知られる卵だが、価格高騰が続いており、卸値は4年で3倍まで膨らんでいる。そんな中、値上げラッシュに反して価格が安定している食品があるという。
筆者が注目するのは「米」だ。今後も値上げラッシュが続く場合、米に注目が集まっていく可能性が高い。なぜなら、米の価格は、コロナ禍・原油高・海外インフレの三重苦にもかかわらず、価格が下落しているからだ。
総務省統計局の小売物価統計調査によれば、わが国における米5キロの価格は23年1月時点で2033円(全国平均ベース)だった。コロナ前の18年以降は2150〜2180円程度で推移していたことを考えると、そこから5キロ当たり最大で150円程度も値下がりしている。
米も卵や牛乳のように国産品が市場流通の大半を占める。そうであるにもかかわらず、値上げラッシュ基調の中で価格が落ち着いているのは、燃料や飼料といった輸入品をほとんど使用せずに栽培から収穫が可能な作物であることが大きい。
また、グラフを確認すると、米の生産量を制限するいわゆる「減反政策」が18年度に廃止されたこともコメ相場の下落に関係していると考えられる。減反政策の終了に伴い、米消費が減っている日本において供給が優位となり、インフレ下でも価格にほとんど反応が見られていないのだ。
日本人の「米離れ」といわれて久しいが、こうした価格の安定性を考えると、米食回帰が進む可能性もあるのではないか。数年後には、「物価の優等生」の座が、卵から米に移っているかもしれない。
筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCEO
1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら
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