学び直しは会社員のキャリアにどう生きたのか 働きながら38歳でMBAを取得:プライベートをほぼ捨てても(2/5 ページ)
「リスキリング」が注目されている。大手企業での勤務を経て、31歳でスタートアップに転職した上野陽子さんは、働きながら38歳でMBAを取得、その後、別のスタートアップに転職しマネージャー職を務める。「プライベートをほぼ捨てても挑戦する価値があった」と話す上野さん。学び直しがキャリアにもたらした変化とは――。
どうやって仕事と大学院を両立したのか
大手企業で営業やマーケティングを経験した後、スタートアップで新規事業の立ち上げとグロースに携わった上野さんは、キャリアアップへの意識が強いバリキャリのひとり。
そんな彼女は、スタートアップにおける新規事業のグロースに失敗した経験から、経営者視点での意思決定力の不足を痛感。「もっと価値を発揮したい」「もっと自分の人生を探求したい」といった思いから、働きながらオンラインでMBAを取得しようと決めた。
当時は35歳の働き盛り。独身で時間と経済にも余裕があり、仕事への志が高い。それでも相当ハードな道であろうと想像する。どうやって仕事と両立したのだろうか。
「通学していた2年8カ月は、一部の休暇を除き、プライベートを潔く捨てました。仕事、食事、睡眠、お風呂と週1〜2回のジム通い、1日30分の晩酌以外は、ひたすら勉強をしていました。遊びや飲みに誘われなくなるので少し寂しかったのですが、勉強は純粋に楽しかったです。気分転換として、たまにオンライン飲み会だけ参加していました」
上野さんにとって、MBA取得の最大の壁は「英語力の弱さ」だったという。通学していたオーストラリアのBond University(ボンド大学)はTOEICの最低ラインが600点で、上野さんの得点は650点。合格ラインには届いたものの、周囲との英語力の差は明らかだった。
「最初の授業の内容がほとんど聞き取れず、絶望的な気持ちになりました。泣きながら動画を翻訳するほど追い込まれたのですが、何とか食らいつこうと英語を猛勉強しました」
結果的に入学から3カ月でTOEICは810点まで上がり、何とか授業についていけるようになったそうだ。
当時の上野さんの仕事は、パーソルキャリアでのヘッドハンターだった。大学院への通学は公にしていたが業務量の調整などはなく、「プロとして個人の目標が達成できていれば、比較的自由な時間で働いてもいい」程度のサポートだった。それでも周囲が応援する姿勢だったことは、ありがたかったという。
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