学び直しは会社員のキャリアにどう生きたのか 働きながら38歳でMBAを取得:プライベートをほぼ捨てても(5/5 ページ)
「リスキリング」が注目されている。大手企業での勤務を経て、31歳でスタートアップに転職した上野陽子さんは、働きながら38歳でMBAを取得、その後、別のスタートアップに転職しマネージャー職を務める。「プライベートをほぼ捨てても挑戦する価値があった」と話す上野さん。学び直しがキャリアにもたらした変化とは――。
キャリアに生きる「学び直し」とは
学びに貪欲な上野さんは、MBA取得後、22年春に認知科学コーチングの認定も取得した。これは脳科学、心理学、精神医学の学問を組み合わせ、現状の外側にある未来をつくり続けるためのアプローチで、起業家や社長の受講者が多い。
「受講のきっかけは、私自身が友人からコーチングを受けたことでした。現状の延長線では実現できないようなゴール設定ができたことにより、その後のパフォーマンスが大きく変化したんです。MBAで得た知識をパワフルに生かすために、脳と心をアップデートできた感覚でした。
コーチングには起業家がさらに事業に熱狂できるような状況をつくり出せる力があると感じ、同時に社内の若手人材のダイナミックな飛躍にも役立てられると思いました。認定取得後は、副業として起業家・経営者向けにコーチングを提供しています」(上野さん)
上野さんの学び直しの経験を参考にすると、その後のキャリアに生かすには、「いま自分に何が不足しているのか」を知り、「これからどんな貢献がしたいのか」を明確にしなければならないだろう。仕事において実現したいゴールを定め、逆算して必要なスキルを身につけることで、高いモチベーションを維持できるのかもしれない。
その上で重要になるのが、学びの環境だ。「グローバルに活躍できるビジネスレベルの英語力を養いたい」という意思があった上野さんは、国内よりも海外の大学院を選択。さらに、「インプットに集中するよりも、学びで得たことをすぐにアウトプットできる環境をつくりたい」という理由から、働きながらオンラインで学ぶことを選んだ。
結果、MBA通学中はプライベートをほぼ犠牲にする必要はあったが、自身のビジョンに一致した企業への転職を果たし、今後の人生をより豊かに生きるためのスキルを得られたという。「資格や学位の取得そのものを目的とせず、その学びが自身のキャリアにどうマッチするのか、自分が何をしたいのかを吟味してほしい」と上野さんは締めくくった。
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