「粗大ごみ収集」受付の3割がLINE なぜ福岡市は進んでいるのか:事例に学ぶ自治体DX(2/4 ページ)
自治体のDX導入が進み始めているが、まだまだのところも多い。そうした中で、福岡市はなぜ先進的なのか。その秘密を探っていくと……。
福岡市「粗大ごみ収集受付の3割がLINE経緯」
福岡市では、19年の実証実験を経て、20年よりLINE公式アカウントを活用した粗大ごみ収集の受付と、処理手数料をLINE Payによって支払いが可能となる仕組みを市内全域で開始した。
福岡市では18年8月にLINEとその子会社であるLINE Fukuokaとの間で、LINEの技術を活用した未来志向のまちづくりを共同で目指す「地域共働事業に関する包括提携協定」を締結。上記の取り組みはその一つだ。
LINEで福岡市の公式アカウントを友だち追加し、粗大ごみの種類と個数、収集先の住所などを入力したあと、LINEのトーク画面で収集希望日、搬出場所を選択すれば申し込み完了。LINEに届くメッセージからLINE Payでの決済画面に進むことができる。仕事の合間をぬって電話する必要も、コンビニに粗大ゴミ処理券を買いに行く必要もなく、スマホ一つで申し込みから決済までが完了する。
21年3月の福岡市の粗大ごみ受付方法別の割合を見ると、全体のうちLINEからの申し込みが32.1%、電話からの申し込みが49.5%。電話からの申し込みについては、チャットボット導入前の18年8月は74.2%だったので、約25ポイントも減少している。粗大ごみ処理手数料をLINE Payで支払ったユーザーに調査したところ、約98%が「便利だった」と回答した(集計期間19年7月1日〜20年3月31日)。
東京都や横浜市など、デジタルで粗大ゴミの収集を受け付けている自治体は多い。ただ、決済までデジタルで一元化できているところは少なく、LINEで完結できる福岡市は最先端のDXソリューションを提供しているともいえる。
ほかにも、全国の政令指定都市よりも早く始めたことがある。12年には住民票の写しなどコンビニ交付を開始、19年には国に先駆け「脱ハンコ」を実施した。通常、パソコンファーストでシステムがつくられるケースが多いが、福岡市は早い段階でモバイルファースト、つまりスマホで全部できるように転換を進めてきた。20年11月には「DX戦略課」を設置するなど、積極的にDXを推進している。
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