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「粗大ごみ収集」受付の3割がLINE なぜ福岡市は進んでいるのか:事例に学ぶ自治体DX(3/4 ページ)
自治体のDX導入が進み始めているが、まだまだのところも多い。そうした中で、福岡市はなぜ先進的なのか。その秘密を探っていくと……。
外部のIT人材を活用
こういった福岡市の取り組みは極めてまれなケースであり、他の自治体の多くは何年もの間オペレーションは変わっていない。DXが進まない理由の一つとして、IT人材が不足していることが挙げられる。
日本全国の自治体を見渡しても、ITリテラシーの高い、いわゆる“IT人材”が不足しているようだ。「中にいないなら外に頼もう」と考えても、外注の仕方が分からない。外注先へどのように指示をしたらいいのか分からない。
また「市民の利便性を高めるためには、こんな仕組みが必要だ」といったデザインを描く人材がいなければ、何かを生み出すことは難しい。「DX」という言葉だけが宙に浮いて、足踏みをしている自治体は多いのではないだろうか。
システムを理解していない人が要件定義をつくると、無駄に開発ボリュームが大きくなりコストも肥大化する。一方、働く人や使う人の事情を理解していないと理想論だけで固まってしまう。そこで必要になるのは、外部人材が中に入って、重責を担うこと。各自治体に開発チームができるのがベストだが、企画部分を外から来た人と中にいる人がともに業務を進めることで、絵に描いた餅(のようなシステム)にはならず、結果、開発費用の削減にもつながる。
19年には東京都が元ヤフーの社長である宮坂学氏を副知事として起用し、福岡市でも「2チャンネル」開設者の西村博之氏をはじめとした外部人材をDXデザイナーとして起用している。
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