「ジャックコーク」は、檸檬堂に続く2本目の柱となるか? コカ・コーラが狙う新市場:ジャックダニエルとコラボ
日本コカ・コーラは、同社の主力製品である「コカ・コーラ」と、ウイスキー「ジャックダニエル」を使ったアルコール飲料を発売する。檸檬堂に続く2本目の柱となるか?
日本コカ・コーラは、同社の主力製品である「コカ・コーラ」と、ブラウンフォーマン(米・テネシー州)のウイスキー「ジャックダニエル」を使った容器入り飲料(RTD)「ジャックダニエル&コカ・コーラ」を4月10日に発売する。
容量は350ミリリットルでアルコール度数は7%、メーカー希望小売価格は210円(税別)。コカ・コーラカンパニー(米・ジョージア州)としては18年発売のレモンサワー「檸檬堂」に続くアルコール飲料ブランドとなる。またコカ・コーラを使ったアルコール飲料は国内初。22年に試験的に販売を開始したメキシコでの好評を受け、日本や北米、欧州への展開が決まった。
コカ・コーラは1886年から販売されている超ロングセラー商品だが、ジャックダニエルもまた初の米国政府公認蒸留所に認定されたのが1866年という歴史あるブランドだ。
ジャックダニエルをコカ・コーラで割る飲み方は、1907年ごろに米国南部で始まったと伝えられている。日本コカ・コーラによれば、世界で販売されているジャックダニエルの約40%がコカ・コーラを含むコーラ飲料と一緒に飲まれており、ジャックダニエルをコカ・コーラで割ったカクテルは「ジャックコーク」という愛称で親しまれているという。
ウイスキーをコーラ飲料で割ったカクテルは日本でも「コークハイ」「ウイスキーコーク」などと呼ばれて1980年代から親しまれているが「ジャックコーク」という呼び名には、ジャックダニエル+コカ・コーラは別格という“こだわり”が感じられる。ジャックダニエル&コカ・コーラという長い商品名も、世界的な老舗ブランドのコラボレーションであることを強調する意味がある。
ジャックダニエル&コカ・コーラ発売の背景には、コカ・コーラカンパニーが清涼飲料だけではない「トータル・ベバレッジ・カンパニー」として、製品ポートフォリオを発展させる狙いがある。実は日本オリジナルの檸檬堂が2022年からすでにグローバル展開に乗り出しており、コカ・コーラカンパニーはジャックダニエル&コカ・コーラを檸檬堂に続くアルコール飲料の2本目の柱としたい考えだ。
RTD市場のハイボールカテゴリーにジャックダニエル&コカ・コーラを投入する理由について、日本コカ・コーラの関口朋哉氏(アルコールカテゴリー事業本部長)は「日本のRTD市場は22年時点で5100億円を超える規模となっており、過去5年間(18〜22年)は年平均で6.2%増の成長を続けている。特にウイスキーを炭酸で割って飲むハイボールカテゴリーはRTD市場の12%を占め、年平均成長率は7.4%増と市場全体を上回っている」と説明する。ターゲットは普段からウイスキーやハイボールを口にする機会の多い層だ。
アルコール度7%は「ジャックコーク」の本家が導き出した“黄金比”といえそうだが、檸檬堂と同様にアルコール度数の異なるジャックダニエル&コカ・コーラが登場するのか、他のウイスキーブランドとのコラボはあるのかなど、気になるところもある。
しかし関口氏は「まずはジャックダニエル&コカ・コーラを市場に根付かせることが重要。『もっとアルコール度数が高い(低い)ほうがいい』といった声が上がるのは承知しているが、現時点では(バリエーションは)考えていない」と話す。
とはいえ、ジャックダニエル&コカ・コーラは展開する国・地域によってアルコール度数(ジャックダニエルとコカ・コーラの比率)を変えるなどの微調整もしているそうなので、発売後の反響によってはバリエーションが増える日が来る可能性はあるとみていいだろう。
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