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「中身が見える冷蔵庫」が好調 なぜ開発したのか:「背伸びせず使える冷蔵庫」も(3/6 ページ)
新潟県燕市の家電メーカ「ツインバード」が開発した最新の冷蔵庫は、ドアに触れると開けなくても中が透けて見える。使いやすい冷蔵庫が生まれるまでの歩みを、企画・開発担当者にうかがった。
発泡スチロール製の実物大モックアップで検証
サイズは最終的に、幅685×奥行630×高さ1648(単位:ミリメートル)となった。奥行630ミリメートルはクラス最薄。高さを抑えたこともあって、日本人女性の平均身長である157センチメートルの人でも背伸びすることなく、最上段の棚の奥のモノが取れるようになっている。
このサイズはどうやって導き出したのか? 実物大のモックアップ(模型)をつくって使用感を検証するといっても、冷蔵庫のような大型商品でそれは容易なことではない。ここで力を発揮したのが、試作をつくる部門だった。神成氏は次のように話す。
「試作部門には、発泡スチロールを削って設定寸法通りのモックアップをつくってもらいました。使いやすさを検証して使いづらかったら、指定した分だけ高さや奥行をすぐ削ってもらうことができました」
サイズが決まるまでに1年半ほど時間がかかった。使い勝手と容量の確保を両立するために幅・奥行・高さのバランスを取らなければならず、細かい調整を重ねて検証を繰り返したためだ。モックアップでは問題なかったものの、3DCAD(立体的な3次元設計図をつくる専用ソフト)上でシミュレーションしたところ、新たな問題が発覚したことも。そのため、再びモックアップによる検証に戻ることもあった。
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