連載
「中身が見える冷蔵庫」が好調 なぜ開発したのか:「背伸びせず使える冷蔵庫」も(4/6 ページ)
新潟県燕市の家電メーカ「ツインバード」が開発した最新の冷蔵庫は、ドアに触れると開けなくても中が透けて見える。使いやすい冷蔵庫が生まれるまでの歩みを、企画・開発担当者にうかがった。
断熱性能の低下をいかに補うか
中を見るときに透ける部分は断熱材を使用できないことから、「中身が見える冷蔵庫」の開発では見える機能と省エネ基準達成率100%を超えることの両立も課題になった。開発を担当した開発本部開発技術部 シニアエンジニアの伊藤完也氏は、課題解決ポイントとして次の2点を挙げる。
(1)中を見るのに十分かつ透ける面積をできるだけ小さくできる形を見つける
(2)透けるところから逃げる熱を最小限に抑える
透ける位置、大きさ、形状については、モックアップでの検証と3DCAD上でのシミュレーションから決定。試作品で断熱と結露の評価を行い、その結果を踏まえて手直しを繰り返した。
「透ける部分を小さくしつつ逃げる熱を抑えるために、ガラスの断熱性能を上げることにしました」と伊藤氏。問題は、断熱性能が高ければ高いほどガラスが高価になることだった。
伊藤氏は「一般的な家庭用冷蔵庫に採用できる高い断熱性能を持ったガラスは、結局見つかりませんでした」と明かす。最終的には一般的な3層ガラスを使い、ガラスの厚さと透ける部分の形状を工夫することで断熱性能を上げた。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 日本の富裕層は148.5万世帯、増えている理由は?
野村総合研究所は「2021年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模」の推計結果を発表した。「純金融資産保有額」が5億円以上の「超富裕層」は9.0万世帯で、全体の0.16%であることが分かった。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 「大量閉店」に追い込まれたのに、なぜクリスピーは“復活”したのか
クリスピー・クリーム・ドーナツの売り上げが好調だ。売り上げが落ち込んで大量閉店に追い込まれたのに、なぜ復活できたのだろうか。取材したところ、2つの理由が浮かんできた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.