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「中身が見える冷蔵庫」が好調 なぜ開発したのか:「背伸びせず使える冷蔵庫」も(5/6 ページ)
新潟県燕市の家電メーカ「ツインバード」が開発した最新の冷蔵庫は、ドアに触れると開けなくても中が透けて見える。使いやすい冷蔵庫が生まれるまでの歩みを、企画・開発担当者にうかがった。
製氷皿を独自開発した理由
また、中型冷蔵庫では一般的な自動製氷機能を省き製氷皿をつけることにした。製氷皿は、水を入れた容器に仕切りのついたフタをする独自開発のもので、凍ったら左右からねじるように力を加えると5角形の小さな氷ができあがる。
自動製氷機能を搭載しなかった最大の理由は、1万人規模のアンケート調査からあまり使われていないことが判明したからだ。神成氏は次のように話す。
「『購入時はいいと思っていましたが、今は使っていません』といった声がありました。お手入れも薬剤を使ってマメに実施することが推奨されていますが、まったくと言っていいほどできていないケースがほとんどでした」
製氷皿を独自開発することにしたのは、一般的な製氷皿は水を入れる際にはねてしまったり、冷凍庫に入れるまでに水をこぼしてしまったりしやすいため。「当たり前に使っている道具ですが、改善できるポイントが多くあるように思えたので、不満を感じず使いやすいものを開発したいと思いました」と神成氏は話す。
製氷皿の開発は同社にとって初めてのこと。水を入れたケースにフタをしてつくる方式は開発開始から比較的すぐに発案されたが、完成までは試行錯誤の連続。誰でも取り出しやすいよう容器の材質、厚さ、形状を変えながら検証してきた。つくった試作は30個以上に達し、完成までに1年ほどかかっている。
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