ワークマンの「おしゃれシフト」は成功するのか アパレル専門家が指摘する新業態への懸念:磯部孝のアパレル最前線(1/5 ページ)
昨今、これまでの作業ウェアから一般向けの商品を拡大しているワークマン。ファッション性を重視した新業態「ワークマン カラーズ」も発表した。一方で、アパレル専門家はワークマンの「おしゃれシフト」へ懸念を示す。
既に多くのメディアでも取り上げられた、ワークマンの2023年春夏新製品発表会。発表会で一番力を込めて打ち出していたのが、新業態となる「WORKMAN colors(ワークマン カラーズ)」だ。9月に都内で1号店をデビューさせる予定だという。今回は新業態のコンセプトや狙いについて検証してみたい。
国内で979店舗(23年1月末時点)を有するワークマンは、既に全都道府県への出店をしており、1000店舗の達成は間近だ。主力はメンズ衣料で、21年度のチェーン全店における作業ウェアの売上構成比30.5%、作業用品の売上構成比24.7%と合わせて、本業である作業ウェア・用品の構成比は約55%を占めている。
矢野経済総合研究所がまとめた20年度の分野別ユニフォーム市場規模を見ると、作業ウェアの市場は2800億円だ。一般に、作業ウェアの市場は法人需要が6割、個人需要が4割といわれている。法人向けは競合が多く競争が熾烈で受注後の在庫管理から追加注文までのアフターサービスも求められる。一方、個人向けでは、法人向けのような煩わしさはなく、ワークマンの作業服ウェアはもっぱら個人向けに展開している。作業ウェアの売上高が477億円(21年度)のワークマンとしては、まだ成長の伸びしろがあるようにも感じるのだが、最近はレディス市場への参入に注力しており、今後も力点を置いていくようだ。
20年10月に「#ワークマン女子」を初出店して以来、ワークマンは女性客が大幅に増加している。同社の発表によると、#ワークマン女子で70%、WORKMAN Plus(ワークマンプラス)で50%、ワークマンブランドでも30%が女性客になっていることから、自信をつけているようだ。
今回、ワークマン カラーズをデビューさせる狙いの一つには、既存のワークマンとワークマンプラスとの関係に共通した部分があるとみられる。
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