企業がリスキリングを成功に導く、4つのポイント:何をすべきなのか(4/5 ページ)
リスキリングへの注目度が高まっている。企業や個人がリスキリングに取り組むにあたって、何をしたらいいのか。ポイントを絞って解説する。
企業がリスキリングを成功に導くポイント
リスキリングに注目が集まる一方で、導入に躊躇(ちゅうちょ)する企業や、うまく現場で回らないケースもあるだろう。それらに共通するのは、経営と社員個人の考えに乖離(かいり)があるからだと考えている。その溝を埋め、リスキリングを成功に導くために必要なポイントを4つ紹介する。
(1)目標を明確に示す
企業の今後の経営ビジョン、社員への期待を言語化することが大切である。これにより、社員自身が「なぜ今リスキリングが自分の会社で推進されているのか」を自分事として落とし込めるようになるからだ。
同時に、具体的に「どんなスキルが今後の会社にとって必要なのか」を企業が発信をしていくべきだろう。さらに、社員に対して、いつまでにどんなスキルを身につけてほしいというスケジュールを切り、企業のマイルストーンを示していくことを平行して行っていくことが重要だ。
(2)社員の自発性を促す
公募でリスキリング対象者を募るなど、社員の自発性を尊重するべきである。会社から学びを強制するのではなく、社員の「学びたい」という気持ちを増幅させることで、組織全体に良い循環をもたらすことも期待できる。
(3)少数でスタートし、成功事例をつくる
新しくスキルや知識を習得するのにはパワーがいる。日々、忙しい社員たちに自発性を促すためには、最初から大きくスタートするのではなく、前向きに取り組める少数の社員を対象にトライし、成功事例を浸透させていくのが良いだろう。
リスキリングがポジションアップ、給与アップ、副業など働き方の多様性に生きることが示せたら、他の社員たちにも「自発的に学びたい」という気持ちが芽生え、自ずとリスキリングの活性化につながっていくと考えられる。
(4)無理のない学び計画
学びに時間と労力をとられるばかりでは、モチベーションも下がってしまう。そのため、実務に生かせる領域からスタートするのが良いだろう。例えば、就業時間内に学びの時間がとれるようにするなど、業務の一部として遂行させるような制度が望ましい。
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