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AIを活用して洋服を開発、どうなったか?10万人以上のデータを使った(5/5 ページ)

AIを活用した商品開発にヒット事例が生まれ始めている。ファッション領域でパーソナルスタイリングサービス「DROBE(ドローブ)」を提供するドローブ社では、2021年の秋冬シーズンから10万以上の会員データを取り込んだAIを商品開発に活用。AIはファッション業界の商品開発にどんな価値をもたらすのか。

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課題は、AIの精度を高めること

 ドローブ社のAIシミュレーターは、自社のパーソナルスタイリングサービスの提供により、日々収集データが増えている。とはいえ、予測の精度はさらに高めていく必要があるという。

 「例えば、素材の手触り感は、現状光沢のあり・なしぐらいしか判別できません。ですが、精度の高い画像認識ソフトなどを導入すれば、手触り感のデータも収集して、予測に取り入れられるかもしれません。最近のAIの進化を見ていると、大部分をAI予測で完結することも夢物語ではないだろうなと」(佐熊氏)

 加えて、処理速度が追いつかないのも課題だとか。

 「本来、要素のパターンは億単位まで組めるんです。ただ、処理速度の問題で難しいので数万に限定しています。処理速度が大幅に上がれば、より多くのパターンから最適な要素を導き出せるので、予測の精度も上がります」(佐熊氏)


ノーリーズとのコラボでは、AIが導き出したボウタイ、七分袖、ボリュームスリーブといった要素を活用して開発した

 現在、大手アパレルメーカーを含む3社ほどの共同開発プロジェクトが進行しているそうだ。ファッションメーカーからの引き合いは強く、協業を加速させたいと意気込む。

 「共同開発のほか、メーカーさまが製作したい商品を当社のAIシミュレーターを使って評価するという支援もできるのかなと。デザインや生産数を決めるのに役立つと思います」(佐熊氏)

 多様な価値観がよしとされる現代において、アパレルの商品開発がいかに難しいかは筆者のようなアパレル素人でも容易に想像がつく。自身の感性を貫きたい、新たなトレンドを生み出したいと願うデザイナーやブランド視点だと、「AIに指示されるなんて」と共感し難いかもしれないが、売れなければブランドもメーカーも存続できない。

 どの業界、職種にも求められているのは、「いかにAIを味方にしていくか」なのだろう。

写真提供:ドローブ社

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