まるで「噴水」 タイガーが挑戦的なコーヒーメーカーを開発した理由:家電トレンド解説(2/4 ページ)
6万6000円のコーヒーメーカー「Siphonysta(サイフォニスタ)」を投入したタイガー魔法瓶。まるで噴水のようにコーヒーが吹き上がり、見た目にもこだわる。なぜ、高級コーヒーメーカーの市場に挑戦したのか。
「見えないとつまらない」 サイフォン式で世界に挑戦
同社はフォースウエーブの獲得、そして、コーヒー市場の世界的成長を背景にしたグローバル展開を見据えてSiphonystaを開発。Siphonystaの最大の特徴は、スペシャルティコーヒーをおいしく飲むことを深掘りし、海外で戦うために採用した「サイフォン式」だ。
コーヒーの抽出方法は大きく「透過法」「加圧法」「浸漬法」の3つに分けられる。 透過法は、コーヒーの粉にお湯を注いで成分を抽出する方法で、最も一般的なドリップ式がこれに当たる。加圧法は、コーヒーの粉に圧力をかけながらお湯を注ぐ方法で、エスプレッソが知られている。浸漬法は、コーヒー粉をお湯に浸すことで成分を抽出する方法で、サイフォンの他、フレンチプレスなどがある。透過法や加圧法のコーヒーメーカーは多いが、浸漬法に分類されるサイフォンのコーヒーメーカーは少ない。
ドリップ式のコーヒーメーカーが数多く普及しているのには理由がある。お湯を沸かしてコーヒー粉に通すという比較的簡単な構造であり、淹れた後に残った粉をペーパーごと捨てられるなど、気軽に取り扱えるからだ。これはハンドドリップでも同様で、お店では回転率が良く、淹れている様子が「絵になる」こともドリップ式が人気の理由になっている。
一方サイフォン式は、今や喫茶店でも珍しい。ガラスの器具を用いた理科の実験のような淹れ方は独特で、ノスタルジックな印象さえある。器具の取り扱いが難しそうなイメージもあり、同じ浸漬法でも容器の構造がシンプルなフレンチプレスのほうが一般的だ。
だが、タイガー魔法瓶はあえて、サイフォンを採用した。
「コーヒーメーカーはブラックボックスというか、見えないところでいつの間にかコーヒーが出来上がってしまうのがつまらないと思っていました。サイフォンは動きが見せられ、淹れている様子が美しく、おいしさを醸し出せると考えました」(和泉さん)
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