コロナ禍で得たものとは? JTBが「学び」で組織風土を変革する理由:「自律創造型人財」を育成(6/6 ページ)
旅行大手のJTBは、2018年から「キャリア改革」に着手。既存事業の外でも活躍し、自らキャリアを切り開く「自律創造型人財」の育成を目指す。コロナ禍による激変やそこで生まれた危機感を経て、スキル・キャリア開発を進める一方、組織風土の改革が今後の課題だ。
コロナ禍で生まれた危機感、“学び合い、学び続ける組織”へ
もちろん、個人の考えや成長意欲に差があるのは当然だが、その上で「“学び合い、学び続ける組織”をつくり、社員を成長させることが会社の使命」だと田中氏は言う。なぜなら、個人や組織として成長を実感できる会社でないと、人が集まらない時代になってきたからだ。
「初等教育の段階からキャリア教育を受ける機会が増えているため、キャリア意識の高い若手社員が増えています。そのため、自分や周りの成長を実感できない環境だと辞めていってしまう。“学び合い、学び続ける組織”の風土醸成がますます求められているのです」(田中氏)
組織風土を変えるのは簡単ではないが、同社では“半径50センチから変えていく”ことを意識し、社員への啓蒙(けいもう)動画を作成したり、「学び」をテーマにしたオンライン社内イベントを開催したりするなど、取り組みを進めている。初回だった21年のオンライン社内イベントに比べて、22年の2回目の開催では、社員参加のプログラム数が約3倍、視聴者数は約5倍の約7200人に拡大。学びへの関心が徐々に広がっている。
また、コロナ禍による経験が組織風土に与える影響も大きかったようだ。田中氏はこう話す。
「コロナ禍ではみんな相当悩みました。しかし、それによって健全な危機感が生まれました。『これまでの延長では未来はない』ということを全社員が理解し、その危機感によって自己成長の意欲が高まったように思います。今は急激に需要が戻り、業務が忙しくなっていますが、そんな中でも学びを止めないために、“学び合い、学び続ける組織風土”を実感できる会社にしていくことがこれからの課題です」
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