【4月施行】デジタル給与払い解禁、どんな業種で広がっていく? メリット・デメリットを解説:令和5年の法改正トリセツ(3/3 ページ)
労働基準法改正に伴い、令和5年4月1日からデジタル給与払いが可能になります。どのような業種で広がっていくのでしょうか? また導入によるメリット・デメリットを解説します。
デジタル給与が浸透した未来
デジタル給与が浸透していくと、どのような変化が起こると思いますか? 筆者は「給与回数が増えることで、働き方や人生の選択肢が変わる」と考えています。
現在、日本企業の多くが月に一度、銀行口座に給与を振り込むやり方を採用しています。もしデジタル給与が浸透し、企業と従業員双方がメリットを感じた場合は、将来的に米国のように月に2度、もしくは毎週給与が振り込まれる可能性もあると思います。米国では日本とは異なり、90%以上の労働者が月に1回以上の給与を受け取っているというデータがあります。
給与の受け取り回数が増えることで、例えば生活は下記のように変わるかもしれません。
- 交際費や冠婚葬祭、医療費などの突発的な出費にも対応できる
- 給料が入るまで我慢していた旅行に行けたり、欲しかったものをより早く購入できたりする
- いち早く積立NISAや定期預金などに資金を振り向けられる
これらは一部ですが、月に一度の給料日が毎日・毎週に変わることでお金に縛られない生活を実現できたり、お金の管理・コントロールをしやすくなったりするでしょう。
今回のデジタル給与払いの導入に伴い、筆者は「未来のお金の価値」に対する世の中の捉え方が大きく変わると予想しています。例えば「今日の1円」と「明日の1円」は価値が異なるということで、月初めの1日に給与20万円受け取れるのと25日に同額を受け取れるのでは、前者の方が価値が高いことになります。それは月初めに受け取った給与を運用し、25日までに20万円以上の価値にできるかもしれないという考え方に基づいています。
日本では近年、日銀の金利政策の影響もあり、銀行に預金を預けていても雀の涙ほどの利息しかつかないのが実態です。しかし欧米諸国では金利上昇を受けて、年利で2〜3%の預金利息を得られる国も存在します。仮に2%の預金利息や運用の利回りを実現できた場合、月初めの20万円は同月の25日には理論上20万273円の価値になります。
これは単月の理論値ですが、年単位で考えると複利で影響が出るためより大きな違いになるでしょう。このように、本来は労働者のお金(債権)に早くアクセスできる選択肢や可能性が出てくることにより、世の中のお金の流れや時間価値に対して今後注目が集まっていくのではないかと思っています。
本稿でお伝えした内容は少し先の話でどれだけすぐに実現するかは分かりませんが、お金の使い方や考え方が変わる可能性を示唆しています。デジタル給与解禁をきっかけに、自身のお金の扱い方を見直してみてはいかがでしょうか。お金はもっと自由な存在になるかもしれません。
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