【4月施行】デジタル給与払い解禁、どんな業種で広がっていく? メリット・デメリットを解説:令和5年の法改正トリセツ(2/3 ページ)
労働基準法改正に伴い、令和5年4月1日からデジタル給与払いが可能になります。どのような業種で広がっていくのでしょうか? また導入によるメリット・デメリットを解説します。
デジタル給与の「メリット」「デメリット」
ここからはデジタル給与払いによる「メリット」「デメリット」を企業側・従業員側に分けて整理していきます。
【企業側へのメリット】
・振込手数料削減
デジタル給与の方法は大きく2つの方法があり、どちらを選択するかで手数料に差が出ます。一つは従来の給与振り込みと同様に、企業の銀行口座から従業員側のキャッシュレス決済口座に給与振込(チャージ)をする方法です。この場合は、銀行振込を使用することになりますので、費用に変化はありません。
もう一つは、従業員側が支払いを希望するキャッシュレス決済アプリの送金ネットワークを利用する方法です。企業の法人アカウントを保有することで、銀行振り込み時に比べて手数料負担を軽減できることになります。
・人材確保
日頃からキャッシュレス決済を利用する人や給与の複数回払いに魅力を感じる人をはじめとして給与のデジタル払いと相性のいい人材が集まってくる可能性があります。バイト代=小遣いである学生や、給与を生活費の一部に充てているパートタイマーなどは、給与の即時受け取りニーズが高いです。昨今の人手不足から、給与の即時払いは訴求力があり人材確保も期待できるかもしれません。
・福利厚生の充実、従業員満足度向上、企業イメージ向上
給与受け取りの選択肢が増えることは従業員にとってメリットがあるため、福利厚生の一つとして検討している企業も多いのではないでしょうか。社内外に社会の変化や多様性を理解しているというメッセージを打ち出すことにもつながります。
【企業側へのデメリット】
・周知やフロー作成の工数増加
これまでの給与支払方法に加えて、デジタル給与用の新しいオペレーションが必要になります。労使協定の締結、従業員への説明と同意書の取得など担当者の工数が増えることが予想されます。
【従業員側へのメリット】
・お金の支出管理がしやすくなる
キャッシュレス決済の普及に伴い、現金を持ち歩かないという方も増えてきているため、チャージする手間もなく日常使い分の給与が入金されると非常に利便性が上がります。現金はレシートがないといくら使ったか分かりませんが、キャッシュレス決済であればアプリやWEBから何に使ったかが一目でわかり、支出傾向から家計の見直しもしやすくなります。
【従業員側へのデメリット】
・上限金額が決まっている
資金決済法では、資金移動業者が送金できる金額の上限を1件当たり100万円までと規定しています。つまり、資金移動口座に支払われる給与額が100万円を超える場合、キャッシュレス決済アプリだけではデジタル給与払いに対応できなくなっています。
資金移動業者が破綻! 補償される?
デジタル給与を受け取っている資金移動業者が破綻した場合の保証はどうなるのでしょうか? 法律で、保証機関が賃金受取に用いる口座の残高を6営業日以内に従業員に対して全額払い出しすることが義務付けられています。具体的な払い出しの方法は資金移動業者ごとに異なりますので、確認する必要があります。
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