イトーヨーカドー、逆転狙った「幕張店」の今 再建のカギはドラッグストア化!?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
イトーヨーカ堂の苦戦が続いている。衣料品の不振などが響いた。幕張の新モデル店で思ったような成果が出なかったことも背景にあると筆者は指摘する。
新モデル店に行ってみた
具体的なフロア構成は、1階が衣料品(婦人服・服飾雑貨、紳士服・服飾雑貨、肌着)、薬品、化粧品、日用品、住関連商品(寝具、ルーム雑貨、キッチン&ダイニング、文房具、防災用品、自転車、子供用品)、食品のフードマルシェ(青果、精肉、鮮魚、惣菜、ペット用品)、フードコート(「ミスタードーナツ」「ケンタッキーフライドチキン」「マクドナルド」「たこ焼き・ラーメン ポッポ」)となっている。
その他、生花「ブケ・フルール」、美容室「カットファクトリー」、クリーニング「マミークリーニング」、保険「保険見直し本舗」などの専門店が多数入っている。
また、2階は全てテナントで、「ニトリ デコホーム」「ダイソー」「アカチャンホンポ」「ABCマート」「ロフト」などが営業している。アパレルの店舗は1店のみで、雑貨の他は、何かを学ぶ教室も多い。
さらに、1階にはサービスカウンター、催事スペース、2階には赤ちゃん休憩室がある。
セブン&アイの広報では、「ライフスタイル売場の構造改革が実り、結果が出ている。医薬品や化粧品を強化したのが奏功している」と強調する。
千葉県松戸市の八柱店では21年9月17日、イトーヨーカドー初の試みとして、1階をドラッグストア型店舗に改装し、成功しているという。
幕張店のリニューアルのポイントは、1階のメインの出入口、国道14号側口を入ったところの正面に婦人服売場があり、その隣に紳士服と肌着の売場があることだ。つまり、店の顔となるところが衣料品の売場であり、食品売場やフードコートは奥に引っ込んでいる。
また、専門店ではユニクロや姉妹ブランドの「GU」が入居していない。「しまむら」もない。ワークマンの都市型業態「ワークマンプラス」もない。
つまり、衣料品売場の売り上げを妨げる、強力なナショナルブランドを置いていないのが特徴だ。
「衣料品を買いたいのであればイトーヨーカドーで」と思い切りアピールしている。
ところが、先日の発表では、自社で運営するアパレルからの撤退を表明した(肌着など一部は残る)。幕張店などで実験的に衣食住をワンフロアに集約し、衣料品を思い切り顧客にアピールしたが、思った通りの成果が出なかったことも背景にあるのではないだろうか。
衣料品撤退の背景には、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅敏氏が3月10日に逝去したこともあるだろう。
これからのイトーヨーカ堂は、幕張店で構築したライフスタイルストアから衣料品を省いた、食品スーパーとドラッグストアとホームセンターの縮小版が融合した店舗に、各種テナントをリーシングして入居させる不動産業で、再生しようというシナリオだ。
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