「さようなら、またね」 八重洲ブックセンター本店の建物が“複雑”で面白い:水曜日に「へえ」な話(4/4 ページ)
東京駅の近くにある「八重洲ブックセンター本店」が閉店する。周辺エリアの再開発によるもので、いったん終了する形だ。本店の建物は「船」をイメージしているが、その歴史を取材すると、興味深い話がちらほら。どんな内容かというと……。
45年の歴史にピリオド
さて、八重洲ブックセンター本店の歴史は、45年でいったんピリオドを打つ。ご存じのとおり、書店を取り巻く環境は厳しく、どんどん姿を消している。出版科学研究所によると、全国の書店は1999年に2万2296店あったが、2020年には1万1024店に。ほぼ半分である。同社もその波は受けていて、16年には出版取次大手のトーハンが、発行済株式の49.0%を鹿島から取得して、新体制をスタートさせている。
八重洲ブックセンターの店舗も少なくなっていく中で、なぜ本店は営業を継続できたのだろうか。同社の担当者は、その要因として2つを挙げた。1つは「立地」である。東京駅から徒歩1〜2分ほどのところにあるので、やはりアクセスがよいことは強みである。もう1つは「変わらなかったこと」を挙げている。どういう意味か。
店の周辺には、たくさんのビジネスパーソンが働いている。ということもあって、ビジネス書や専門書にチカラを入れてきた。本店に一度でも足を運んだことがある人であれば想像できるかと思うが、1階には出入口などがあって、たくさんの本を置くことは難しい。新刊や話題の本などを並べて、本丸ともいえるビジネス書は2階、専門書は3階で販売している。このスタイルは45年間、ずっと変えていないという。
本店が再び姿を現すのは、2028年度になる。周辺エリアの再開発によって、大型複合ビルの中での“船出”を計画している。その間、仮店舗での営業を考えているそうだが、いまのところ決まっていないという。
50歳になった店で、ビジネス書や専門書をどのように並べているのか。変わらず“特等席”で、ビジネスパーソンを待ち構えているのかもしれない。
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