「いい意味で人をダメにする」 話題の「ニトリ座椅子」、PC作業とゲームの違いに着目:開発経緯を聞いた(2/2 ページ)
「快適すぎる」「いい意味で人をダメにする」「一度座ったら立ち上がりたくない」―と、ある家具がSNSで話題を集めている。家具大手のニトリが販売する「ゲーミング座椅子」だ。
PC作業とゲーム、両方のニーズに答えるアイデア
――ゲーミング座椅子のアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
担当者: コロナ禍でテレワークやお家時間が増えたにもかかわらず、「最適なテーブルや椅子がない……と困っている方がいるのでは?」という考えがきっかけでした。
――どのような顧客をターゲットに想定して開発したのでしょうか?
担当者: ゲーミング座椅子という名前の通り、最初のコンセプトは長時間座ってゲームしても疲れない座椅子でしたが、同時にPCで作業することも意識して開発しました。
PCで作業する時とゲームをする時に求められるニーズは、似ているようで全く異なります。PC作業には、広いテーブルで画面から目まで適切な距離を取ることが求められます。一方、ゲームをするには、テーブルは狭くても首を真っすぐにし、より画面に集中したいという希望が多くありました。その両方のニーズに応えるため開発したのが、付属のクッションです。
クッションを膝の上に置けば、テーブルの延長板になるので、PC作業がしやすくなります。ゲームに集中したい場合は、テーブルの角度を調整し上に重ね置きすることで、高さを自分好みに上げることができます。
また、背もたれとテーブルのリクライニングの角度を調整すれば、クッションを足置きにしてリラックスした姿勢がとれます。
――ゲーミング座椅子は通常の座椅子と異なる点がいくつかありますが、開発で苦労した点やこだわった点はありますか?
担当者: どんなお客さまでも心地よく使用していただくためのサイズ設計、長時間座っていても疲れにくい座面の厚みや奥行の設定などに苦労しました。試行錯誤しながら何度もつくり直し、あらゆる姿勢で快適に座れる座椅子を追求しました。
――発売後の反響はいかがですか?
担当者: 「テレワークができるから」「ゲームができるから」「足をおけるから」というそれぞれの使い方に対する声はもちろんですが、それ以上に「その全部ができるからすごい」とのご意見を多くいただいております。
e-sportsの活況を受け、専用のデスクやチェアといったゲーミング家具市場も拡大している。そうした中、同社は2018年にゲーミング家具の企画を立ち上げたが、その経緯について「ニトリに関心が薄かった新しい客層へのアプローチ」「当時のゲーミングチェアは軒並み10万円以上する高価なものが多数を占めており、これを半値以下で提供できないかと思った」(担当者)と振り返る。
企画立ち上げから4年後には、「東京ゲームショウ」に初出展し、ゲーミング家具を紹介。ゲーミングチェアだけでなく、デスクやワゴン、シェルフなどを合わせた、ニトリが得意とするトータルコーディネートを提案し「手軽にまとめてゲーミング環境を作りたい」という消費者の心をつかんだ。
また、本格的なゲーミング家具以外にも、「冬に布団から売れを出して操作するのは寒い」というちょっとした不満を解決する「スマホ毛布」など、ゲームとの親和性が高い雑貨も開発。ゲーミング家具という新しい分野においても、「消費者の困りごとを解決する」という同社の商品開発への姿勢は一貫しているようだ。
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