混沌極める「画像生成AIと権利問題」に光が差すか? アドビの緻密な戦略とは:本田雅一の時事想々(3/5 ページ)
画像生成AIが話題だが、権利問題についてはさまざまな懸念があり、混沌を極めている。そんな中、アドビが仕掛ける逆張りの戦略とは?
スタートしたばかりのFirefly、将来的には?
もっとも現時点でのFireflyは、まだ進化の途上にあるサービスであり、各種アプリケーションからの利用も可能にはなっていない。ベータ版を利用できるのは登録を希望したユーザーのみで、登録後に順次開放されていく予定だ。
筆者は一足先に使い始めているが、現時点ではText to Imageと呼ばれるプロンプト入力による画像生成と、プロンプトで指示した修飾を文字に施すText Effectのみ。今後はベクトルデータを用いたイラストデータの生成や、スケッチからテキスタイル、あるいはカスタムブラシなどを生成する機能など、さまざまな機能が追加される予定だという。
注目すべきは「Adobe Stock」に登録されている著作権フリーのデータと、ネットで入手できる著作権フリーのデータを用いて学習させており、生成される画像についても無料で商利用可能になるという部分だ。
実際に使ってみると、特にグラフィックや絵画など、非写真系映像では印象的なデザインを生成してくれる。
特にテキスト修飾は、そのままでも有料サービスとして利用したいと思うほどだ。
画像生成に関しては、Adobe Stockの偏りもあるのか、アジア人のイラストや写真が不得手なようだ。AI生成で不自然になりやすい腕や指の描写などの特徴は、他のサービスと同じ。
またデザインバリエーションも決して多くはなく、プロンプト入力で発想を飛ばしつつ、Adobe Stockの内容をざっと見て想像しながら指定しないと、なかなか良い絵が出てこないこともある。特に写真ライクな写実的な人物モデルは厳しいという印象だ。
一方で使いやすさは抜群で、シンプルな操作でプロンプトから生成した画像を好みの方向に調整したり、全く異なるモデルに切り替わるようワンクリックで再生成させたり、同じモデルから派生画像を作らせたりと、ユーザーインタフェースの設計はさすがにアドビらしい良さがある。
まだ発展途上であり、今後も地道な改良を望みたいところだだが、Adobe Stockが元になっているだけのことはあると思える、美麗なグラフィックスが得られることも事実。そして、そこに将来性、つまりカスタムAIモデル活用の可能性を感じる。
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