高級食パン「銀座に志かわ」社長に聞く勝算 ブームが終わっても生き残れるのか:米国に挑戦(1/4 ページ)
全国ブームの火付け役となった銀座に志かわは、2022年7月に米ロサンゼルスで海外一号店を出店した。デリバリーサービスを中心に事業を展開している。高級食パンビジネスでは、何が起こっているのか。銀座に志かわを展開する銀座仁志川の高橋仁志社長に聞いた。
高級食パン業界では熾烈(しれつ)な競争が続いている。
もともとは10年ほど前に、京都・祇園に本店を置く「ボロニヤ」や大阪市の「乃が美」をはじめ、西日本を中心にした店舗から、ひそかなブームになっていた。
2018年9月に東京・銀座で「銀座に志かわ」が開店。それを追うような形で12月に「乃が美」が東京に初出店した。その様相が多くのメディアにも取り上げられることとなり、一気に全国的なブームへ広がった経緯がある。
今や高級食パンを扱う店は、専門店だけで約1000店舗といわれる。
そんな中、全国ブームの火付け役となった銀座に志かわは、海外に打って出た。22年7月に米ロサンゼルスで海外一号店を出店。パン食の本場ともいえる米国では、デリバリーサービスを中心に事業を展開している。
海外進出を果たした狙いとは。高級食パンビジネスでは、何が起こっているのか。銀座に志かわを展開する銀座仁志川の高橋仁志社長(高は「はしごだか」)に聞いた。
東京から打って出た銀座に志かわ
――高級食パンブームの流れをどう捉えていますか。
銀座に志かわは18年9月に銀座本店からスタートしました。高級食パンブーム自体は、乃が美さんが2013年に始め、さらにセブン-イレブンさんが「金の食パン」を展開したことによって文化として広がっていきました。
乃が美さんの戦略は大阪から打って出て、東京を最後にするマーケット戦略を採っていました。通常、文化は東京から広がっていくことが多い一方、東京を最後にした戦略でブームは進んでいったので、東京の大手メディアに大々的に取り上げられたのは18年になったころでした。ここまでに5年かかっています。
――18年は銀座に志かわが営業を開始した年でもありますね。
東京を後回しにする戦略に対し、ならば東京から打って出てやろうとしたのが当社でした。18年9月に営業を始めたのですが、その2カ月後の11月に、乃が美さんも麻布十番に東京1号店をオープンさせました。わずかな差で当社が一歩リードできたというわけです。
――それから銀座に志かわは、乃が美の牙城だった西日本に出店を進めていきます。その様相をメディアが「高級食パン戦争」とも取り上げました。
とはいえ乃が美さんは、やはり高級食パンをけん引する先輩的な存在です。文化を生み出したお店として尊敬もしています。現在、高級食パン専門店が日本に1000店舗ぐらいあるといわれて、「銀座に志かわ」は今137店舗を展開していますが、乃が美さんとの差はなかなか縮まりません。
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