高級食パン「銀座に志かわ」社長に聞く勝算 ブームが終わっても生き残れるのか:米国に挑戦(4/4 ページ)
全国ブームの火付け役となった銀座に志かわは、2022年7月に米ロサンゼルスで海外一号店を出店した。デリバリーサービスを中心に事業を展開している。高級食パンビジネスでは、何が起こっているのか。銀座に志かわを展開する銀座仁志川の高橋仁志社長に聞いた。
トップブランドを持つ企業が生き残る
――「高級食パンブーム」に陰りという声はメディアでも報じられています。
高級食パン業界では、生粋のパン業界の企業が経営しているのは当社ぐらいのもので、外部から参入している企業が大半なんです。そういう意味では、かつてのタピオカドリンクブームのように、はやりに乗って出店したお店が、収束しそうになるや否やこぞって撤退するようになる可能性も大いにあります。
そうなった時に、私は麻布十番モンタボーというベーカリーもしっかり経営してきました。そして現在もグループでベーカリーを経営している当社としては、ブームが終わったから撤収とするわけにはいきません。当然ですが、一ベーカリー企業としてしっかりパン業界に定着していくつもりです。
――ブームが収束する時はいつか必ず訪れると思うのですが、今後どのように乗り切っていくお考えでしょうか。
先ほどタピオカドリンクを例にお話しましたが、ブームが落ち着いても根強い人気を誇るのが「貢茶(ゴンチャ)」というお店です。「ゴンチャ」は日本や台湾だけでなく世界で1700店舗以上を展開する一大ティーブランドとして有名です。
ブームが収束した時にどんな企業が生き残っているのかをみると、「ゴンチャ」のようなトップブランドを持つ企業が生き残っています。ブームの全盛期に店舗数が一番多かった企業ではありません。
――つまり、生き残るためには店舗数ではなく、トップブランドが必要だというわけですね。
それを確立したいがための、米国進出とも言えます。海外だけでなく、国内でも「高級食パンといったら銀座に志かわ」と言っていただけるように、47都道府県でしっかりお店を出していくのも一つの大きな目標です。とはいえ、トップブランドを目指そうとするなら、日本だけではなく世界市場も見据えなければいけません。
そのために、角食パン発祥の地である米国で、日本の高級食パンを新しい文化として広めていきたいです。日本を代表する文化として「Shokupan」を海外で伝道していくことが、銀座に志かわのブランド作りにもつながると信じています。
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