”推し本”を置く神保町の「共同書店」が話題、どんな場所なのか:一棚一棚に店主がいる(3/5 ページ)
一棚一棚に店主がいて、それぞれの推し本を販売する共同書店が、本好きの人の間で話題となっている。「週末は若者が集まりクラブのような雰囲気になる」とか。一体どんな場所なのか。
書評サイトの延長で生まれた「共同書店」
パサージュの誕生を語るには、オールレビューズ社が運営する書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS(オールレビューズ)」の存在が切り離せない。同サイトは、17年に由井氏とその父親であり仏文学者の鹿島茂氏が手掛けたもので、有名書評家が新聞・雑誌・書籍で発表した書評を無料で読むことができる。「パサージュは、同サイトの店舗版のようなものだ」と由井氏は説明した。
「オールレビューズには、有料の公式ファンクラブとして『ALL REVIEWS 友の会』があるのですが、そのメンバーと何か店舗やコワーキングスペース的なものがほしいよねと話していました。そんな中で神保町の物件が空いたので、すぐに手を上げました」(由井氏)
それから鹿島茂氏と由井氏で話し合い、現在の共同書店のスタイルに落ち着いたというわけだ。
「パサージュのオープン以前に、同じく棚貸しのシステムを持つ本屋のアンテナショップ『BOOKSHOP TRAVELLER(ブックショップトラベラー)』さんで、オールレビューズとして棚を借りたことがありました。そこで父のサイン付きの書籍を販売してみたところ、かなり売れ行きがよかったんです。そんな背景も踏まえ、パサージュのコンセプトを固めていきました」(由井氏)
現在、ちょうどオープンから1年が経過し、訪れる客層に変化が見られているという。オープン直後は古本好きの中年男性が目立っていたが、知名度が付いてくると若年層が多く来店するようになった。
「一般的な古本屋さんって入りづらいじゃないですか。パサージュは気軽に入りやすい雰囲気をつくっていて、最近は若い人がとにかく多いです。派手な髪型をした男女が、本を見て楽しそうに会話をしていたり。週末はクラブみたいな感じになっていますね」(由井氏)
古本好きではなく、純粋に本が好きな人が来店している印象なのだという。SNSを見て来店する人も多いそうだ。
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