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”推し本”を置く神保町の「共同書店」が話題、どんな場所なのか一棚一棚に店主がいる(5/5 ページ)

一棚一棚に店主がいて、それぞれの推し本を販売する共同書店が、本好きの人の間で話題となっている。「週末は若者が集まりクラブのような雰囲気になる」とか。一体どんな場所なのか。

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目標は「棚貸しシステム」の外販

 パサージュが目指す未来像を尋ねると「明確にある」と由井氏。

 「棚貸しのシステムを外販していきたいです。当社では専用のシステムを開発していて、書籍に貼られたバーコードを読み取るだけで在庫登録ができたり、1つの管理画面でいろいろな管理ができたりします。

 棚貸しのビジネスモデルは、純粋に本が売れる場所じゃないと店主が付かないなどの課題はありますが、一方で定期的に棚賃が得られるのはメリットです。サブスクリプションなどで、このシステムを多くの書店に使ってもらうことを今年の目標としています」(由井氏)


QRコードを読み取るとオンラインで決済ができる仕組みも(QRコードはぼかし加工を入れている)

 将来的には、1階の書店を無人で運営することも視野に入れている。店内には15台のカメラを設置していて、会計などのシステムもすでに組み込まれている。

 「一度、書籍を購入した方にユーザーIDを付与して、扉の開け締めを自由にできる状態にしたいと考えています。基本は施錠しておいて、ユーザーが自ら鍵を開けて書籍を購入して、施錠して帰ると。24時間いつでも好きなタイミングで来店できます」(由井氏)


オープンから1年経過し、さまざまな模索を経て構想が広がっている様子がうかがえた

 無人店舗にする際の最大の課題は万引防止であり、ユニクロが会計システムで使用しているRFIDの採用を検討しているそうだ。電子タグを読み取ることで非接触でモノの識別や管理をするシステムであり、例えば、未会計の書籍を出入り口で判別してアラートを出すことができる。コストの兼ね合いで採用を見送っているが、これが実現すれば無人化は容易になるという。

 日本出版インフラセンターの調査によれば、22年の全国の書店数は約1万2000店で、10年間で約3割減となった。衰退が指摘される業界だが、視点を変えればビジネスチャンスが見えてくるのかもしれない。

写真撮影:小林香織

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