2015年7月27日以前の記事
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EV普及には急速充電を戦略的に進めるしかないノロノロ(2/3 ページ)

他の主要国と違って日本市場でのEV普及は亀のごとく遅い。その主な要因は充電設備の整備の遅れだ。この克服は、官民の協力なくしてはあり得ない。

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 ここでちょっと整理をしておこう。主に自宅や企業に設置される普通充電器(出力約6キロワット)なら充電に10時間程度かかる。出力50キロワットの急速充電器なら30〜40分で約8割まで充電できる。

 なお、日本では50キロワット以上の急速充電器は業務用のビルや工場と同様、高額な高圧受電設備が必要とされる規制があり、保安規定の作成や電気主任技術者の選定も求められるなど、設置のハードルが随分と高い。

 さて、ガソリン価格が将来的にさらに値上がり必至な状況下、日本市場にも外国車を含むEVの投入が続いており、「次のクルマはEVってのもいいかな」と考えているお宅も少なくないとは思う。しかしその際に確実にボトルネックになるのが走行距離の問題と、充電器の不足と充電時間が長いことだ。

 日常的な足としてだけ使うのであれば、確かに自宅に充電設備があれば事足りる。しかし時には充電することをうっかり忘れてしまうこともあろうし、長距離走行したくなることもある。そもそも大半のクルマオーナーにとって、自家用車はちょっと遠出をしたい時に予約することもなく自由に移動できるからこそ保有価値があるというものだ。

 それなのに旅行中に、充電のために30〜40分も待つというのは本来あり得ない使用条件だろう。日本での公共利用の急速充電器は、「充電渋滞」を避けるために30分までに利用時間が制限されているケースが多い。そうなると旅行中に30分の細切れ充電を同じ日に複数回繰り返す可能性は小さくない。ゆったりと観光地巡りをしたいはずなのに、急速充電器探しで焦りながら時間を費やす羽目に陥りかねない。

 政府は22年度予算で約65億円の補助金を確保し(前年度の実績比6倍以上なので、この努力は評価したい)、充電設備の増加を後押ししようとしているが、このご時世にその後も同様の支援規模を維持できるかは心許ない。そもそも充電インフラ事業者が付いてくるのかは、ここまでの経緯を知っている身とすると、もっと心許ない。

 本気で急速充電器の普及を図りたいなら、まずは現在の規制を大胆に緩和して、充電インフラの設備コストとサービス提供の運営コストを下げさせなければ話にならない。これは補助金を用意する以上に重要な政府の仕事だ。

 その上で、充電インフラ事業者にもターゲット戦略を工夫してもらいたい。役所関連の公共施設は脱炭素をアピールしたいので予算がつきやすいが、EVユーザーが日常的に立ち寄る場所ではない。ガソリンスタンド(GS)は従来の延長的発想でEVユーザーが立ち寄りやすいと見ているのだろうが、30分以上も停められてはGS経営者としては商売にならない。

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