「ディズニー誘致」の歴史に“地上の星”がいた! 何者か:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
ディズニーランドが開業40周年を迎えたことで、誘致成功に導いた人々があらためて注目されている。オリエンタルランドの初代社長など、さまざまな人物にスポットが当たっているが、筆者の窪田氏はある人物に注目している。何者かというと……。
誰も覚えていない地上の星
今回ご紹介する、渡辺寛氏もそんな一人だ。
51年、40歳前後で京成電鉄の総務部嘱託になって労働組合の16年史などの編纂(へんさん)にあたっていた渡辺氏は、京成百貨店取締役、大森京成百貨店監査役などを経て73年、62歳でオリエンタルランド取締役に就任。川崎社長の懐刀として、米国のディズニーランドや欧米のレジャー視察の市場調査を命じられたほか、ディズニー社との条件交渉に関わっていた。
その後、川崎社長退任からほどなくして渡辺氏も取締役を退任。『千葉日報』の論説委員などで活躍をしてオリエンタルランドの経営とは距離をとるが、83年の東京ディズニーランドの開業時にはオープニングセレモニーに招待されて、壇上にもあがっている。
そんな功労者だが、京成電鉄やオリエンタルランドに渡辺氏について問い合わせをしても、「当時の資料が残っておらず分からない」という。そんな典型的な「誰も覚えていない地上の星」である渡辺氏に、なぜここにきてフォーカスを当てるのかというと、筆者は「ディズニーランド誘致成功のキーマン」ではないかと考えているからだ。
実は筆者は6年ほど前、渡辺氏の息子さんや娘さんなどを取材して、『週刊ポスト』に人物評伝を書かせていただいたことがある。主にオリエンタルランドに入るまでの渡辺氏の波乱万丈な生き方を追いかけたもので、NEWSポストセブンにも転載されており、ご興味のある方は読んでいただきたい。(参照リンク)
この評伝記事でも紹介しているが、実は息子さんと娘さんは、渡辺氏がただの「企業役員」ではないと感じていたという。筆者の取材に息子さんはこのように答えている。
「親父には不思議な人脈があった。若いときにテレビ喫茶を始めたのは正力松太郎からテレビをたくさんもらったからだと言っていたし、有名な総会屋の志賀さんという人と付き合っていて、毎年お歳暮をもらっていた」(前出)
ここに出てくる「志賀さん」とは、東京ディズニーランド建設時の埋め立て事業でマスコミをにぎわせ、川崎社長との親交がささやかれた総会屋・志賀三郎氏のことだ。その後もオリエンタルランドと志賀氏は関係が続き、2005年には志賀氏の関連企業にオリエンタルランドが清掃業務などを委託していたことが報道されている。
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