なぜ「サンドイッチマン」は復活したのか 辞書から消えた言葉が面白い:週末に「へえ」な話(3/5 ページ)
『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』という書籍が登場した。辞書から消えた言葉を紹介しているわけだが、読者に好評のようで。SNSで話題になっているだけでなく、発売1週間で重版も決定。担当の編集者に、辞書ができるまでの裏話を聞いたところ……。
「コギャル」を説明するのは難しい
さて、辞書をパラパラとめくっていると、気になる言葉がたくさん浮かんできた。このコラムですべてを紹介するわけにはいかないので、気になった言葉をいくつか取り上げてみよう。
トップバッターは「エムディー(MD)」である。辞書には「デジタル録音・再生するための、直径六・四センチのディスク」と書かれている。この言葉が掲載されていることに、異論を挟む人はいないはず。MDの再生機器は製造されていないし、家電量販店で販売しているところもほぼないし。こうした流れを受けて、第八版で姿を消した。
では「レコード」はどうなのか。「レコードプレーヤー」(第二版:1974年)はとっくの昔に消えているが、レコードはいまも健在である。その理由として、レコードやカセットテープはブームの再来もあって、辞書から当面はなくならないと見ているようだ。考えてみると、レコードをつくっていなくても「レコード会社」と呼ばれていて、年の暮れには「日本レコード大賞」が開催されている。このような状況を踏まえると、辞書から「レコード」の言葉はまだまだ残りそうである。
次に気になった言葉は「コギャル」である。辞書には「顔を黒く焼いたりする、ファッションがはでな女子高校生など」と書かれている。90年代にコギャルが増えたことを受け、第五版(2001年)で採用したものの、第八版で削除することに。
なぜコギャルに注目したのかというと、ほぼ存在しない人のことを辞書の中で説明することは難しいのではないかと思ったからだ。レコードは、専門店に行けば売っている。MDは使っていなくても、家の押し入れの中で眠っているかもしれない。というわけで、現物を目にすることができる。
しかし、コギャルはどうか。渋谷あたりでよーく探せば、運よく出会うかもしれないが、確率はかなり低いはず。ほぼ存在していない人を『消えたことば辞典』で紹介するのは、かなりハードルが高かったのではないか。
この疑問に対して、奥川さんは「コギャルだけではなく、現物が残っていないモノを説明するのは難しい作業ですね。時代背景を紹介するだけでなく、挿絵を掲載するなどして、読者が理解しやすいように工夫しました」とのこと。
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