なぜ「サンドイッチマン」は復活したのか 辞書から消えた言葉が面白い:週末に「へえ」な話(2/5 ページ)
『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』という書籍が登場した。辞書から消えた言葉を紹介しているわけだが、読者に好評のようで。SNSで話題になっているだけでなく、発売1週間で重版も決定。担当の編集者に、辞書ができるまでの裏話を聞いたところ……。
「削除した言葉」をアピールできない
それにしてもなぜ三省堂はこのような“ちょっと変わった”辞書を発刊したのだろうか。理由を調べたところ、『明解国語辞典』が生まれてから、今年で80歳を迎えるそうで。それを記念して、スピンアウトのような形で企画が進んだようだが、その企画のきっかけは周囲の“声”にあったそうだ。
辞書を新たに出版する際、積極的にPRしなければいけない。「ウチの辞書はこんな特徴がありますよ。新たな言葉を追加しました」と。売り文句の一つに「新たな言葉」は欠かせないようで、『三省堂国語辞典 第八版』では「3,500の新語の数だけ、私たちの暮らしは変わりました」「時代を映す3,500語を増補」といったコピーが並んでいる。
ふむふむ。新しい辞書を購入するには、読者もきっかけが必要である。「新しい言葉をたくさん掲載したんだね。いま使っている辞書は古いから、そろそろ買い替えようかな」と感じて手に取る人が多いのかもしれない。しかし、である。ページの制約を考えると、新しい言葉を追加すれば、削除する言葉も出てくるはずだ。
辞書の編集を担当している奥川健太郎さんは、新しい辞書を出すたびに「どんな言葉を削除したのですか?」といった質問をよく受けるそうだ。そのたびに正直に答えていたところ、多くの人から「それ、面白いね」という反応が返っていた。
同じような反応が返ってくるということは、多くの人は削除した言葉にも興味をもっているのかもしれない。このような仮説を立てたものの、「新しい辞書で、〇〇〇項目カットしました!」と大々的に宣伝するわけにはいかない。
奥川さんはそんなことを考えていたわけだが、「『明解国語辞典』80周年の記念キャンペーンとしてであれば、削除した言葉を集めた辞書を出すことができるかもしれない」と考え、企画がとんとん拍子に進んだといった流れである。
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