「乃が美」も「嵜本bakery」も 高級食パンが陥る「ブーム→大量閉店」の流れ:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
「高級パン」ブームが過ぎたにもかかわらず、過当競争はなかなか終わらない。それにしても、なぜ同じような高級パーンの店が生まれるのか。背景に迫ってみると……。
ブームが過ぎて過当競争が進んでいる、と専門家らが指摘していた「高級食パン」の過当競争がなかなか終わらない。
先日、ブームの火付け役「乃が美」で多くの店が経営難に陥ってフランチャイズ本部とオーナーが泥沼訴訟をしている、ということが報じられたが、大手の「SAKImoto bakery」でも大量閉店が起きているというのだ。
J-CASTニュースの『「高級食パン」大手も縮小 「SAKImoto bakery」は5か月で16店を閉店』によれば、SAKImoto bakeryでは2022年12月〜23年4月末までに16店舗を閉店。理由を質問しても、回答を差し控えたいということなので、「言えないような苦しい台所事情があるのでは」などと憶測を呼んでいる。
ただ、ちょっと冷静になって周囲を眺めると、このような「ブーム→大量閉店」という道をたどっているのは、なにも高級食パンだけに限った話ではない。
『唐揚げブームの終焉 ワタミの失敗を専門家は「興味深い。専門店はタピオカと同じ運命を辿る」』(デイリー新潮 3月3日)
大衆が流行りものにワッと飛びついて、商売人は「稼ぎどきだ」と似たような店を次々と出して大行列、時代の寵児のようにもてはやされるが、大衆が飽きると閑古鳥が鳴いて閉店ラッシュ……。そんな「平家物語」の「驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し」を体現するビジネスは、資本主義社会では後を断たないのだ。
ただ、日本の場合、その栄枯盛衰スパンが最近やたらと早いような気がする。ちょっと前までブームだと大騒ぎして行列ができていると思ったら、次に見たときはもう店が潰れて居抜き物件になっている。「寿命」が短いのだ。
関連記事
- バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 「乃が美」と「いきなり!ステーキ」の共通点は何か 両社がハマった沼
「乃が美」と「いきなり!ステーキ」が苦戦している。贅沢品を扱う両社はなぜ低迷しているのか。共通点を探してみると……。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.