「乃が美」も「嵜本bakery」も 高級食パンが陥る「ブーム→大量閉店」の流れ:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
「高級パン」ブームが過ぎたにもかかわらず、過当競争はなかなか終わらない。それにしても、なぜ同じような高級パーンの店が生まれるのか。背景に迫ってみると……。
ビジネスの常識も変わっていく
「みんな同じ商売をやりすぎ」というと、「商売ってのはそういうものだ」「もうけ話があれば飛びつくのが人の性だ」という反論をする人も多いが、時代が変わればビジネスの常識も変わっていく。
例えば、日本にはさまざまなフランチャイズビジネスが乱立しているが、それはもはや国内で広げるものではなく、海外で広げるものになっている。コンビニや外食チェーンなど日本のフランチャイズシステムは、海外の人から見ると驚くほど高度にシステム化・効率化されている。そのため、まだ人口が増えている途上国の企業は、自分たちの国に導入できないかと熱い視線を送っている。
つまり、日本人がこれまでやってきた「同じような店をたくさんつくる」というビジネスモデルは、人口が減っている国内でやるようなものではなく、「輸出産業」として世界に売り出すものになってきているのだ。
「縮みゆく社会」という大きなパラダイムシフトに直面しているわれわれは、商売についての考え方をガラリと変えていく必要があるのではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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