「ららぽーと門真」、アウトレットと禁断の合体!? 大型商業施設の“二刀流”戦略:将来は「三刀流」に(4/5 ページ)
4月17日に大阪・門真(かどま)に新しい施設がオープンした。ららぽーと、アウトレットパークの2業態複合型。この組み合わせはなぜ「禁じ手」とされてきたのか?
日本でアウトレットモール開発が遅れた理由
米国には早くからアウトレットモールができていたのに、なぜ日本ではできなかったのか。
それは国土面積と関係があります。米国の国土面積は日本のおよそ25倍。いくらでも開発できる広い土地があります。ですから大都市のダウンタウンから離れた立地で、ハイウェーを利用すれば1時間ほどで行けるようなアウトレットモールを開発できます。都心の店舗を気にせずにブランド各社もアウトレット店を出店することが可能です。
昔はダウンタウンから100キロ以上離れたところにしかアウトレットモールを開発しないというルールがあったと、米国のアウトレットモールデベロッパーの幹部から聞いたことがあります。それだけ、米国でも都心部の百貨店に出店している自社ブランドの売り上げに影響がないようにしたい、価値を落としたくないと考えていたわけです。
しかし、アパレルでは余剰在庫がでたり、返品されて在庫となる商品もでてきます。シーズン遅れの商品は毎年積みあがります。それを処分する場所として、アウトレットモールは必須のチャネルだったのです。結果的に米国ではアウトレットモールが多数開発されることになりました。
日本でも同様の問題をアパレルメーカーやスポーツメーカーが抱えていました。しかし国土の狭い日本で100キロ離れたところに店をつくろうとしたら、隣の都道府県にまで立地を変えねばなりません。また、その場所にはその地域の百貨店があり、メーカーの直営店があります。どこに出すとしてもブランドは影響を免れないという問題がありました。結果的に日本ではアウトレットモールの開発が遅れたのです。
三井不動産は1990年代はじめから何度もメーカー担当者を米国に視察に連れていくなどして事例を見せつつ、日本での本格的なアウトレットモール開発を進めていきました。
その結果、オープンしたのが三井不動産のアウトレットモール1号店の鶴見はなぽ〜とブロッサムです。その歴史的なアウトレットモールがららぽーと門真と複合する形で同じ館の中に入ったのです。
日本ではアウトレットモールがなかなかつくられなかった時代が続いていました。同じ館の上下に、ショッピングモールとアウトレットモールが共存していることは感慨深いものです。まさに時流は劇的に変化しました。
同施設ではアウトレットモールをららぽーとの間においたことで、これがハブとなり、3階、1階へと来店客を回遊させる役割を果たしています。
平日は1階の飲食とディリーウェアブランドが核となり、地道に客数を確保します。
休日は2階のアウトレットと3階の衣食住遊テナント、1階の映画館が広域からファミリー客や若年層を集客します。このフロア構成により、幅広い客層を集めることができるモールとなっています。
1年を通して安定した集客を可能にするショッピングモールにつながるというのが、ららぽーと門真の最大の特徴といってもいいでしょう。
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