「タイ版のリップモンスター」が人気 マスクをしても崩れない：「タイコスメ」が売れている（5/5 ページ）

コロナ禍のマスク生活を通じて、タイコスメの人気がグンと上昇している。22年の売り上げは、リアル店舗のみで前年比2倍以上の伸びを記録した。国内におけるタイコスメのトレンドを仕掛けた、日本機能性コスメ研究所の林紗陽社長に、その背景を聞いた。

[小林香織，ITmedia]

10年続く、息の長いトレンドへ

　タイコスメを積極的に扱うドン・キホーテのコスメ担当バイヤーに聞いたところ、同店では21年4月ごろから「シーチャン」の商品を扱い始めた。現在では、4ブランド80SKU（デザイン・色・サイズまで分類した最小単位）まで取り扱い商品が増えている。

「キャシードール」の「リップ＆チークヌードマットティント」、「4U2（フォーユーツー）」の「タッチマイリップ」「アイシャドウパレット」が売れ筋トップ3とのこと（ドン・キホーテ浅草店の売り場／パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス提供）

　主に購入しているのは若年層、特に10〜20代前半の女性で、高機能にもかかわらず手に取りやすい価格帯が支持されているようだ。さらなる販売拡大にも積極的で、日本未上陸のタイブランドもチャンスがあればチャレンジしたいとのこと。

　タイコスメのみならず、中国コスメにも期待があるという。「中国コスメのパッケージのかわいさは、アジアンコスメの中でも随一で発色も良い商品が多い。SNS映えする中国コスメを引き続き深堀りたい」と担当者は話した。

　日本機能性コスメ研究所の林社長は、一気に販売店舗を増やすより、機能性が高い商品、日本にない商品をつくりたいと話す。

複数のタイコスメを試したところ、いずれも使い心地はよかった（筆者撮影）

　「一気に伸びると一気に落ちてしまうので、突発的なブームは狙っていません。あえて販売数を抑えて、10年続くようなトレンドをつくりたいなあと。韓国コスメをお手本にして、ドラマやアイドルといった文化と絡めてタイコスメも広げていけたらいいですね」

　5月1日からは、ドン・キホーテ限定でキャシードール「サンマット」ミニサイズ（日焼け止め／990円）の発売が決まっており、初夏には落ちないパウダーも再注目されるのではないか。日本機能性コスメ研究所が手掛けるタイコスメには、「品質とコスパの良さ」「ローカライズ」「時代とのマッチ」「新しさ」があり、これらが競合ひしめくコスメ領域で売れた要因といえそうだ。