「縮むニッポン」に適したビジネスは何か “盗まれない”最強の産業:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
人口が急激に減少していることを受け、さまざまなサービスが縮小している。多くの業界が厳しい環境に置かれているが、そんな中でも他国から「盗まれない」産業がある。それは……。
人口が減少しても、伸びていく産業
ガソリンスタンド情報共有サイト「gogo.gs」を運営するゴーゴーラボ社が4月14日に発表したところによれば、22年度に開店したガソリンスタンドは76店舗、閉店したガソリンスタンドはその7倍以上となる555店舗にのぼったという。
全国のガソリンスタンド数は1994年度の約6万店をピークに減少を始め現在は約2万7013店舗である。専門家は、安全性の観点からガソリンスタンド設置の条件が厳しくなったとか、後継者不足だとか、EVシフトの影響を指摘するが、ここまで露骨に激減しているのは、やはり人口減少も大きいだろう。
特に過疎化が進む地域で「足代わり」に自動車に乗っていた高齢者世代も、これから年を追うごとにどんどんハンドルを握らなくなってくる。利用者も減るし、働き手もいない。ガソリンスタンドを維持できる要素がまったくない。閉鎖の勢いは今後さらに強まっていくはずだ。
さて、このような話を聞くと、「人が減っていく日本国内では、もう何かのビジネスをして成長させていくというのは不可能のではないか」と暗い気持ちになるビジネスパーソンも多いだろう。
残念ながら、低価格なものを多くの消費者に提供をして儲(もう)けるというビジネスモデルの先行きは暗い。ロボットやChatGPTというテクノロジーがいくら進歩をしても、移民を受けれない限り「消費者」の絶対数が減っていくからだ。というわけで、外食フランチャイズなどは先々週の記事『「乃が美」も「嵜本bakery」も 高級食パンが陥る「ブーム→大量閉店」の流れ』で述べたように、日本を飛び出して海外を主戦場にすべきだ。
ただ、その一方で「縮むニッポン」に適したビジネスもある。これは人が減れば減るほど成長のチャンスが増える。しかも、このビジネスは自動車や半導体のように、他国に技術者を引き抜かれて、日本の技術力や品質が盗まれるというような心配もない「最強の産業」なのだ。
そんな都合のいいビジネスなどあるものかと思うかもしれないが、既にコロナ前にわれわれはそのポテンシャルを身をもって味わっている。そう、「観光ビジネス」だ。
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